営業の心構え ~4つの自信~
売れる営業パーソンが顧客に選ばれ続けるのはなぜなのでしょうか?その理由の一つに、営業パーソンが必ずもっている心構えがあります。それは「自信」です。
想像してみてください。あなたに商品をおすすめしてくれている営業パーソンが、なんだか不安げで頼りない印象だったり、受け答えも自信が無さそうだったりしたら、その商品を買いたいと思いますか?その営業パーソンだけでなく、商品や企業に対しても、「本当に大丈夫なの?」と不信感を抱いてしまいますよね。
顧客と信頼関係を構築し、顧客に選ばれるためには「自信」をもつことが不可欠なのです。この記事では、営業パーソンとしてもつべき4つの自信をご紹介します。
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目次[非表示]
- 1.①会社(ブランド)に対する自信
- 2.②商品・サービスに対する自信
- 3.③職業に対する自信
- 4.④自分に対する自信
- 4.1.①小さな成功体験を積むこと
- 4.2.②継続すること
- 5.まとめ
①会社(ブランド)に対する自信
あなたは、「よく考えたら会社のことを全然話せない」「なんでこの会社で働いているのかわからない」なんて思ったことはありませんか?
営業は、会社の顔であると言っても過言ではありません。なぜなら、顧客は営業パーソンを通してしか、その会社のブランド、提供している商品や社風を知ることができないからです。ですので、営業パーソンが自社に誇りを持てていない状態では、営業としてはおろか、会社として顧客に信頼してもらうことはできません。
しかし、急に「会社に自信を持て!」と言われても、どうやって誇りに思えばよいかわからないでしょうし、「会社」という大きな枠組みの中で、自分事のように捉えるのは容易でないと思います。そんな時は、過去の自分の気持ちや体験に立ち返ってみるところからはじめてみましょう。
例)
- なぜ、今の会社の選考を受けようと思い、入社を決めたのか
- 選考中や、入社後の研修中で印象に残った出来事は何か
- 尊敬する先輩や上司、同期はどんな人物か
会社の魅力を探るには、まずは自分の主観や心情を振り返るのが一番簡単です。その後は、会社に関する既存情報など、客観的な情報をインプットし、会社を語れる状態にしましょう。
例)
- 会社の経営理念やビジョンを再確認してみる
- どんな思いで起業したかの創業時のストーリーを振り返ってみる
- これまでどんな困難や成功があって、今の会社があるのかを上司に聞いてみる
意義や目的を持たない会社は存在しません。営業パーソンは会社の顔であることを自覚し、自分自身や会社としての目的、意義を把握することで、誇りと自信を持って会社を語れる状態にしましょう。
②商品・サービスに対する自信
自社の商品やサービスを提供することによって、顧客の悩み・課題を解決してきた成功体験や、導入後の成果に対して自信をもつことです。
よく、「顧客にとってベストな商材だと思えない」「競合他社に勝てる商品の強みがわからない」と悩んでいる営業パーソンを目にしますが、その悩みはあくまでも主観でしかありません。商品の価値を判断するのは顧客であること、そして、その価値は各々の顧客の課題やニーズによって異なるということを忘れないでください。
競合他社と比較して自信がもてない場合、まずは競合他社の本質について考えてみましょう。どの商品にも競合他社は複数存在しますが、いずれの会社にも商品を購入してくれる顧客がいます。そして、顧客が商品を購入する判断基準はさまざまで、機能やデザイン、価格、アフターサービスやカスタマーサクセスの手厚さ、営業パーソンの人柄など、挙げればキリがありません。
つまり、顧客が購入を決める決定的な条件は、必ずしも商品力や競合優位性にあるわけではなく、顧客のニーズと合致したものにあるということです。
この本質を踏まえた上で、商品に自信をもつためにするべきことは、「商品のことを徹底的に学び、理解すること」です。 大前提として、機能や特徴、強みを知ることは必要ですが、あらゆる情報の引き出しをたくさん持っておくことも重要です。
例)
- なぜその商品が作られたのか
- その商品を顧客が導入した背景は何か
- 導入したことによって成功した事例はどんなものがあるか
- 実際にどのような場面で活用されているのか
上述した内容を、以下の3点に分けて整理してみるのも有効です。
※重要度は、①>②>③です。
①価値=相手にとっての導入する必要性
②利点=商品を導入することによって得られる効果
③強み=商品の特長
そしてその情報を、顧客の課題に合わせて提供できれば、その顧客を成功に導くための商品の価値提供ができるようになるでしょう。
③職業に対する自信
新規開拓営業において、営業パーソンは「招かれざる客」です。何も課題を感じていないクライアントが営業からの提案を心待ちにしていることはありません。
そんな中、飛込み営業やテレマーケティングをしていると、「断られることが多くてつらい」「本当にこの営業は必要なのか」と負の感情が湧いてしまうことはありませんか?こういった感情が続くと、いつしか営業に意義を感じなくなる一方で上司から結果を求められてしまい「とにかく売らないと」という義務感、焦燥感へ変わっていきます。
結果、営業トークに感情が無くなり、押し売りのようになってしまって顧客に嫌がられ、余計成果が上がらなくなってしまうのです。こういった負の連鎖から脱却するためにも、営業という職業に自信をもつことが大切です。
自信をもつための方法の一つとして、目的や本質を理解するところからはじめてみてはいかがでしょうか。そもそも、なぜ「営業」という職業が存在するのか、初心に立ち返って考えてみてください。 営業は、顧客の課題を解決し、顧客を成功へ導くために存在しています。
例)
- なぜ自分は営業の道を選んだのか
- 自分は営業を通してどんな人たちに貢献していきたいのか
-
営業職でどこを目指しているのか、どんな人間になっていたいのか
言い換えると、自分の仕事である営業に対して使命を持つということになります。 営業パーソンの使命感や熱意が顧客に伝わり、それが多くの営業パーソンの中から「あなただから」と選ばれるきっかけにつながるのです。
④自分に対する自信
今回ご紹介している4つの自信の中で、最も身近で、根幹にあるものが「自分に対する自信」だと思います。
「自分に対する自信」とは、営業として働く自分に対してはもちろん、普段の行動や信念など、自分そのものに自信をもつということです。「自分には才能や光るものがない」 「人見知りで、営業に向いていないかもしれない」こんなことを考えはじめると、毎日の仕事そのものが苦痛になってしまいますよね。
しかし、こういった気持ちは何から生まれるのか考えてみてください。 自分より売れている人との比較や、自分にはないものを持っている人との比較から生まれていませんか? そこで、他人との優劣を比べる時間を、過去の自分と比べる時間に変えてみましょう。
具体的な行動策として、2点ご紹介します。
①小さな成功体験を積むこと
②継続すること
①小さな成功体験を積むこと
どんな些細な事でも構いませんので、一日の中で成功したこと、うまくいったことに焦点を当て、成功体験を貯蓄していきましょう。 そうすることで成功を感じることや、成功するための行動が習慣化されていきます。
例)
- 就業開始時間の10分前には会社に到着できた
- 早起きして朝食を作れた
-
同僚にちょっとした気遣いができて感謝された
②継続すること
自分との約束を守り、継続することでスキルが向上し、結果として自分への自信に繋がります。
例)
- ①の成功体験を毎日日記につけて記録する
- 蓄積したノウハウをSNSで発信してみる
-
営業活動での課題を最低ひとつ持ち帰り、次回の営業で克服する
これらを実践していくと、過去の自分と比較した時に、以前は持っていなかったスキルや経験を見つけることができ、物事を習慣化して努力を続けられた自分に対して、自信をもてるようになります。
まとめ
今回は、トップセールスになるために必ずもつべきスタンスとして、4つの自信をご紹介しました。
顧客に選ばれ、成果を出すためには、説得力や安心感が必要であり、そのためには自信をもつことが不可欠です。 ただやみくもに、根拠のない自信をもつことは難しいと思いますので、具体策を活用して実践してみてください。
「4つの自信」引用元: 青木仁志『「売る」技術』アチーブメント出版,2008年,p.141
※この記事は、2020年6月3日に書かれた記事を再編集したものです。