大企業が抱える問題と実践している解決策~営業体制編~
当記事では弊社にいただくお問い合わせの中で、大企業に分類される企業様からいただくことが多いお悩みをまとめてます。
皆さまは自社の営業組織、体制に対してこのような問題を感じていませんか?
「既存顧客に時間がとられて新規顧客の開拓ができずにいる」
「営業パーソンによって売れる人と売れない人の差がある」
「顧客に関する情報など、必要な情報が組織全体で共有されていない」
そこで今回は、営業体制を見なおすにあたり重要なポイント4つをご紹介します。
※本記事は2020年11月に制作した記事を編集・更新しています
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企業内の営業組織で起きている問題
大企業とは、中小企業基本法に基づき資本金3億円以上で、従業員数300名以上を確保しているなどの条件をクリアしている企業を指します。中小企業庁によると、国内の大企業の数は1.2万社で全体の割合は約0.3%と言われています。
こういった大企業は、業界内での認知度やシェア率が高いなど良い面もあれば、「大企業 あるある」で検索しただけでも多くの悪い面も挙がってきますが、中でも組織や体制、手法などの改善のハードルが高いことが特徴でしょう。
多少の方針変更でも根回しや承認を得るといった工程、スキルが求められます。成功事例や周囲を巻き込むスキルなどが求められ、1人だけでは慣例やルールを改善できないのが現状です。
簡単に大企業で起きている問題をまとめると、以下のような状況で多くご相談を受けています。
- 新商品をリリースしても売れる人が限定されてしまう
- 既存顧客の情報が個人単位にしか蓄積されず社内共有が成されていない
- 昔から良いとされている営業手法を踏襲し続けており、感覚や経験に頼りがち
- 評価体制の年功序列という風潮が色濃く残っている
こういった問題を他の大企業はどう解決しているのかを簡単にご紹介します。
営業スキルの平準化
昨今、営業組織は「属人化」による問題から脱却し、営業組織あるいは企業としてパフォーマンスを上げていきたいという意向が傾向としてあります。
属人化による主な問題は以下のとおりです。
・営業活動
「新人にノウハウが共有されず育たない」
「営業ノウハウが社内に蓄積・共有されない」
「そもそも、現場でのリアルな行動がわからず適切なコミュニケーションが取れない」
・商談時
「営業が商談現場で『なにを』『どう』話しているのかわからないため、アドバイスができない」
「個々の営業毎に手法が異なるため、課題も異なりマネジメントへ負担がかかる」
「トップセールスが組織を離脱してから組織の成績が大幅に下がった」
上記のような問題を野放しにしておくと、売上が伸び悩むことは容易に想像がつくと思います。しかし、人手不足に加え優秀な営業パーソンの育成には、大きな労力がかかるので、多くの企業では営業パーソンのスキルのバラつきを解消できずにいます。
そのため、その営業力を平準化できる仕組みをつくる必要があるのです。仕組み構築のためには以下の流れの実践が有効です。
- 営業現場における行動の差異をチェックする
- 行動による結果の差異をチェックする
- 営業現場で実施するアクションを型化する
- 型化したアクションを体現できるまでロープレする
上記工程を通じて、営業個人が起こすべきアクションで悩まない状態をつくることができます。昔ながらのロープレですが、侮ってはいけません。ロープレには再現性・習慣化・成功体験を積めるといったメリットがあります。
身内での成功体験を積んだ後、現場で体現できるかをチェックするといったことがステップとして重要です。ですが、現場での行動を上司が逐一チェックしに同行するのもコストが掛かります。ですので、現場で上手くいったポイントを収集し、簡単に共有できる状態をつくる方法を次の章でお伝えします。
情報共有の効率化
現場の営業状況は見える化されていますか?
お客様の現状の課題やこれまでの対策、掲げている目標や方針など、営業現場で得られる情報は売上創出につながるヒントの宝庫です。そのため、情報蓄積や情報共有の仕組みがないという状態では、いつまでも営業個人の勘と経験と根性による営業活動から脱却できません。
また、こういった現場の情報が蓄積されていることで、経営企画やマーケティングなどの部署でも有効なデータ分析に大きく役立ちます。リアルタイムで情報共有がなされることで、営業組織や個人の課題改善に即座に対応できるため、売上向上にも直結します。
情報蓄積のためには、無料有料問わずツールが有効です。昨今では営業支援ツールも多く出てきており、弊社でも情報共有のために6種類の目的に応じてのツールを活用しています。
- 顧客の状況を社内共有するため(SFA/CRM)
- 顧客の情報を社内に蓄積するため(名刺管理システム)
- 課題に応じたアクションをリアルタイムで相談するため(MA)
- リアルタイムでの知識やノウハウ共有のため(社内SNS)
- 営業パーソン毎の個性や課題を把握するため(タレントマネジメント)
- 組織の人について伝えにくい内容を相談/組織コミュニケーションの負を解消するため(エンゲージメントサーベイ)
このような目的で情報を社内共有するために、目的や用途に応じて必要なツールを選択し導入することをオススメします。ですが、ツールを導入しても成果に影響がないと失敗を嘆く企業様も多いです。これが何故起こるのかを説明します。
購買体験価値の提供
前項でご説明したように、データの蓄積と分析がなければ顧客情報を取得できず、顧客理解を深められないまま、結果として顧客に合った提案をすることはできません。
実現すべき顧客に合った提案とは、購買プロセスの中で適切な顧客に適切な営業行為を実施し「この人から今買いたい」という購買体験を抱かせることです。目指すべき営業のゴールと言っても過言ではありません。
ですが、営業のアクションこそ、もっとも属人化しやすく適切とはいえないコミュニケーションが現場では発生しています。では、なるべく適切なコミュニケーションをとってもらうためには何をしたら良いのでしょうか。ずばり、実現するためにはセールスコンテンツが有効です。
セールスコンテンツは、TVCMや広告などのマーケティングコンテンツとは異なりターゲットが狭域で、顧客に合ったカスタマイズ性が求められる、営業パーソンが適切なコミュニケーションを実施するために非常に有効なツールです。
たとえば、以下のようなものもセールスコンテンツに該当します。
- 類似属性企業の支援事例
- 参考にしている企業での成果、シミュレーション数値
- カスタマイズされたデモ画面
セールスコンテンツを作成する際は次のことを意識すると顧客に応じた提案ができます。
- 会話や意見交換が生まれるきっかけ(引き金)になる
- 買い手の現状や目標に ”問い が生まれ、行動変容のキッカケになる
- 買い手の反論やネガティブに対抗(切り替え)する手段となる
- どんな営業パーソンが活用しても同等の成果や効果が得られる
また、顧客の購買フェーズ(認知・興味、比較検討、提案評価、社内稟議、利用開始)に合わせて、事例集やステップメールなどコンテンツの内容を変えていくことも効果的です。
つまり、営業フェーズ毎のセールスコンテンツを作成し、そのコンテンツを通じて顧客に寄り添ったコミュニケーションが体現できる状態を創り出し、その型化された方法が上手くいったのか、いかなかったのかを社内共有するためにデータとして蓄積し、上手くいったアクションをスキルの平準化のためにアクションプランとして落とし込んでいくことが望ましいでしょう。
営業体制の移行
これまでのお話は営業組織のあるべき姿ではあるものの、大企業での実現に向けては相当なハードルがあります。そのハードルは、状況を大きく変えたくないという企業、組織の方針です。ここが障壁となり、結局動かないままという企業様も多いです。
しかし、大手企業の中でも理想的な営業組織の構築を実現した企業も存在しています。以下では、その企業様が着手した流れを解説します。
- 現状把握を行い、組織として営業課題の認識
- 課題である商習慣の変化への対応
- 求められる営業フローやスキルを構築
- 誰もが体現できるようにロープレで自走できる組織を実現
- 遂行度、業績、能力を評価し、賃金や昇進等の人事施策へ反映
- 求めている方針を体現し、成果を創出している人が評価される仕組みへ
こういった流れで、営業体制の理想を実現しました。
上記の内容でもっとも重要だったと言えるのは「現状把握」と「課題認識」です。一方で、社内の推進者だけでは、慣例などがありこういった業務を遂行しにくいです。その場合は第三者を活用して、客観的事実をベースに「現状把握」と「課題認識」を設定するのも有効でしょう。実際に、上記の例で①~⑥までの支援を弊社では行っています。
大手企業は人材リソースが豊富な分、営業の成功パターンを見つけやすいのも事実ですので、自社内で課題認識さえ設定できれば、インパクトの大きいアクションに結び付けることも可能なはずです。ぜひ、上記の取り組みを参考に推進してみてください。
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「Yes/No」に答えるだけで本当の営業課題がわかるフローチャートです。「1分」で答えがわかるので、営業活動をより良くしたい!そんな方は是非ご活用ください。
まとめ
今回は、大企業が抱える問題と実践している解決策として、営業体制を見なおす場合のポイントを4つの要点でご説明しました。営業力を平準化できる仕組みやツールの整備を徹底し、顧客との適切なコミュニケーションを取るためのセールスコンテンツを作成することが誰もが売れる状態を作る第一歩です。
ただし、上記のような施策を実施するためにも組織の方針決定や推進力が必要です。そのため現状把握、課題認識から実施し、組織単位での方針を決めてから、営業組織のあるべき体制へ移行する流れが大事な役割を果たします。
ぜひ参考にしていただき、営業体制見なおしのためのヒントにしていただけますと幸いです。