BtoB企業にとって展示会が有効な理由と展示会効果を高める方法
昨今、BtoB企業の認知獲得やリード獲得手段としてデジタルマーケティングが大きな役割を担っています。一方で、展示会への出展は一度にたくさんのリードを獲得できるという点や、デジタルマーケティング施策とは異なる性質のリード獲得ができるという点で非常に有効な手段です。
本コラムでは、なぜBtoB企業にとって展示会がリード獲得手段として有効な施策なのかという理由と、展示会の効果を高める3つのポイントをお伝えします。
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「展示会で獲得できる見込み顧客の特性」と注意点
展示会出展は、新規の見込み顧客との接点構築において非常に有効な施策である一方、事前に「展示会で獲得できる見込み顧客の特性」をしっかりと認証する必要があります。
今の時代、顧客は自分で課題を認識し、その解決策を考え、必要だと思うサービスには自分で進んでアクションをしています。そういった方に対して、デジタルマーケティングでは「資料請求」、「ホワイトペーパーのダウンロード」、「セミナーへの申し込み」、「問い合わせ」といった、いわゆるコンバージョンポイントを設けています。そして、そこにたどり着くように様々な露出をして、導線を作り、何かしらのアクションをしてもらえるような施策を打っていきます。
自社に興味をもってくれた方たちは、多くのプロセスを経て、会社やサービスのことを「認知」し、「興味」を持ち、「もっと知りたい」と思い、そこではじめてコンバージョンが発生します。
このようなプロセスを経ている見込み顧客は、程度に差はあれど導入意向や課題感を持っているため、購入確度やタイミングの観点から「今すぐ客」と言われます。こういった見込み顧客は、アウトバウンドでの接触に比べて商談機会の創出や受注に向けた活動の難易度は低いのが実情です。
上記のようなデジタルマーケティング施策に比べると、展示会で接点が持てる見込み顧客は「そのうち客」と言われており購買意欲や検討フェーズが低く、リードナーチャリング(見込み顧客の育成)が必要な場合がほとんどです。
なぜかというと、展示会の来場者の大半が「情報収集目的」であり、よほど気になっているサービス以外は、「自社の役に立ちそうなサービスや何か面白そうなものはないか」という意識の方が多いためです。
展示会でリードを獲得するメリット2つ
では、上述のような性質のリードを獲得するメリットについて2点お伝えいたします。
①決裁者と直接商談ができるチャンスがある
展示会によって事情は異なりますが、経営層や部長といった決裁権を持っていたり、サービス検討への影響力が高い方々も多く参加をされます。そういった方々の中には自分が気になったサービスがあっても、部下に資料請求や商談を任せ結果だけ聞く、というケースが多く、デジタル上での接点が持ちにくいと言われています。
しかし、展示会会場では来場者には腕章などを付けてもらい、経営層や部長などの役職者や役割がわかるようになっていることが多いため、積極的に役職者に対して直接声かけを行うことで「受注に向けて前進しやすい商談機会」を創出するチャンスがあります。
②競合よりも早く、広くターゲット企業との接点が持てる
オウンドメディア等のWebサイト上で個人情報をフォームに記入して問い合わせをするには、ある程度の態度変容が起きる必要があります。しかし、展示会場のブースだと名刺交換のハードルが低かったり、自社ブースに興味のありそうな人にこちらからアプローチしたりすることも可能です。
つまり、オンラインではコンバージョンされにくい、少しも気になっていなかった層に対して声掛けをすることで自社を知ってもらい、新規接点が持てるという点が、「幅広い顧客との接点が競合よりも早く持てる」という背景です。
もちろん展示会リードは「そのうち客」が大半ではありますが、ナーチャリングを通じて「●●に困ったらこの会社に相談してみよう」という状態を作ることで、検討されるタイミングの商談機会に繋がる可能性がぐっと高くなります。
加えて、仮に競合サービスと比較検討される際も、初期段階から導入推進者のサポートができる関係が作れるので、他社よりも有利に商談を進める可能性が高まるのです。
展示会効果を高める方法
前半ではなぜBtoB企業にとって展示会がリード獲得手段として有効な施策なのかという点についてお伝えいたしました。
一方で、出展に興味はあるけども、一度にかかる費用が決して安価ではなかったり、通常業務とは異なった準備が多かったりと、展示会を成功させるのは難しいというイメージをお持ちというお声をよく伺います。実際、展示会の成果を上げるためにどのようなことが必要かわからない、というご相談をよくいただきます。
では、展示会での成果を高めるためには、どのような取組みが有効になるのでしょうか?
ここからは下記3つのポイントに絞ってお伝えいたします。
- 自社サービスとマッチした展示会を選択する
- アプローチするべき部署の優先順位を明確にする
- 名刺交換でスマートにブース内へ誘導する
①自社サービスとマッチした展示会を選択する
ここが実は一番成果に直結しやすいポイントです。展示会といってもテーマや規模も様々です。例えば、”DX化Expo”や”販促Expo”など、自分たちの顧客になり得る人が多く来そうな展示会に出展することが、成果を創出するために非常に大事な要素となっています。
また、テーマの他にも”予想来場者数”も合わせてチェックしましょう。展示会によって規模も様々なので、当日になって「もっと人員を用意すればよかった…」と機会損失してしまうことも意外と少なくありません。加えて、ブースの位置によってもアプローチが見込める人数が変わってくるので、予算や人員計画とセットに考えることで費用対効果を高めることができます。
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②部署毎のアプローチ優先順位やトーク内容を分けて用意する
多くの展示会において、来場者は腕章やネックホルダー等で部署名や役職をオープンにするルールとなっているので、声かけをする前の段階で来場者の部署を予め確認できます。それによって”この部署には声をかけない”や”この部署は最優先でアプローチ”をするといった計画が立てることができます。
また、部署や役職を事前に確認できるメリットとして、”場合分けして最適なトークが展開できる”という点があります。同じサービスでも実務担当者と経営層では「いいね」と感じる部分が違うということはよくあります。なので、部署別、役割別なのでトークスクリプトを用意することで、多くの人に対して効果的な訴求ができます。
ただ、スクリプトについては電話シーンとは異なり、しっかりと覚えておく必要があるため、パターンを増やすぎて逆に使えなかった、ということがないようにバランスが大事です。
③名刺交換でスマートにブース内に誘導する
展示会出展の目的は企業様毎に様々ですが、「名刺獲得」を重要指標とする方は多くいらっしゃるかと思います。その際、「名刺交換はどのタイミングでするのがベストだろう?」と悩まれるかもしれません。
結論からお伝えすると「名乗り、メリット訴求をした直後」です。
具体例としては以下のようなイメージです。
『こんにちは。●●というセールステックツールです。
■■を効率化し生産性向上にお役立てできるのですが、1~2分だけよろしいでしょうか?』
ここで合意が取れたら、『まずはご挨拶させてください』とブース内に誘導して名刺交換を促すという流れです。
実は、このタイミングが一番、機会損失や違和感もなく名刺交換ができるタイミングです。仮に、名刺交換をせずサービスの説明が進んでいく中で、「不要」と判断されてしまうと、名刺交換のハードルが高くなってしまいます。例え今後顧客になる見込みがあったとしても、名刺を交換していないと今後の接点を持つことすら難しくなってしまいます。
また、別観点のポイントにはなりますが、「1~2分」のように、「どのくらいの時間を想定しているか」を事前に伝えることが重要です。
来場者にも時間の限りはあるので、「一度捕まったら長々と説明を受けるのではないか」という不安は付き物です。その不安を解消することで、ブースに立ち寄ることの合意をもらえる確率がかなり変わってきます。
もちろん、噓を伝えることは良くないですが、「●分くらいだったら聞いてみようか」と思ってもらうことで、営業のハードルを下げられるのです。
最後に
以上、展示会効果を高める方法を3つお伝えしました。 展示会に出展する際の参考になれば嬉しく思います。
<著者:セールスカンパニー 営業支援事業部 木下昌洋>