ファクトファインディングとは?ヒアリングとの違いや進め方を解説!
ファクトファインディングとは、課題設定力のことです。
商談でお客様の課題を見つけて、提案をする。頭のなかではわかっていても、上手く実践するのはなかなか難しいですよね。「どのように探っていけばいいのかわからない」「上手く課題を見つけられない…」と悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、ファクトファインディングのプロセスやヒアリングとの違いについて、具体例を交えながら解説します。ぜひ、ファクトファインディングの実践にお役立てください!
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ファクトファインディングとは、『課題設定力』である
ファクトファインディングは直訳すると、ファクト(真実)、ファインディング(見つけ出す)という意味です。
商談におけるファクトとは、お客様の潜在的な課題(ニーズ)のこと。つまり、ファクトファインディングとは、お客様がまだ気付いていない課題を見つけ出す力『課題設定力』を指します。
どんなにたくさんのアポイントがとれても、商談をして「お客様から課題を聞き出せなかったから…」と諦めてしまうのはもったいない話です。お客様から教えてもらうのを待つのではなく、「お客様が本当に必要としていることは何か?」を考えながら、能動的に質問や投げかけをし、お客様と一緒に真の課題を見つけだしましょう。
ファクトファインディングによって、買う予定のなかったお客様が、導入の必要性を感じるお客様に変わる。これが、私たち営業パーソンが目指すべき課題設定となります。
ファクトファインディングのプロセス
商談で良い成績を残す営業パーソンは、どのような流れでファクトファインディングをおこなっているのでしょうか。
セレブリックスでは、買うつもりのない顧客に『重要かつ緊急な課題を設定する』ための条件を探るべく、商談検証を試みました。
その結果、新規営業において良い成績を残している営業パーソンは、3つのステップを通して7つのファクトを明らかにしていることがわかったのです。
【3つのステップ】
- 事業理解のステップ
- 問題発見のステップ
- 課題設定のステップ
【7つのファクト】
- 顧客のビジネスモデル
- 現状
- 理想
- 問題
- 原因
- 示唆
- 課題
3つのステップについて、ひとつひとつ解説していきます。
事業理解のステップ
まずは、お客様のビジネスモデルを理解するステップです。
問題発見と課題設定の土台作りとして、競合情報や価値観、収益を得る仕組みなどについて聞きだします。また、事前準備では調べられなかった、ビジネスの裏側にある想いや狙いにふれていくことで、情報に奥行きをもたせていきます。
- どのようなコンセプトなのか?
- どのようなターゲットなのか?
- どんな商品を提供しているのか?
例
- 現在マーケティングに力を入れていらっしゃるとお見受けしますが、そもそもどのような背景でこのサービスは生み出されたのですか?
- つまり、御社が大事にされている観点は、『顧客に貢献し、共に成長していくサービス』ということでよろしいでしょうか?
問題発見のステップ
次に、問題発見のステップです。
『現状ー理想=問題(ギャップ)』という公式を使って、問題発見をしていきます。
本来問題発見は、理想から現実を引いたほうが発見しやすいと言われています。しかし、営業においては『現状』から質問したほうがお客様は回答しやすいです。現在の状態を知ったうえで理想を聞くことで、会話が自然にすすみます。
なお、営業パーソンが勝手に問題だと感じて話をすすめていくだけでは、ただの自己満足で終わってしまいますので注意しましょう。細かく顧客の『共感』を得ることが大切です。
例① 現状を聞き出す質問
- 現在のビジネスシーンではDXやデジタルシフトが騒がれていますが、御社ではどのような取り組みを行っていらっしゃいますか?
例② 理想を聞き出す質問
- 企業ブランドとして、消費者に抱いていただきたいイメージはどのようなものですか?
例③『現状-理想』で導き出した『問題』
- お客様が目指している売上、ブランド力、シェア、これらの獲得をするためにはリスクコントロールが不十分かもしれません。また、何か問題が起きた際に『責任をもって必要最低限やるべきことをやっていた』と主張するには、対応が足りない可能性があります。例えば、アクセス制限管理を行っているだけで、来訪者の行動トレースまではできていないからです。有事の際の対応で、余計な不満を生む危険性があるのではないでしょうか?
課題設定のステップ
最後に、課題設定のステップです。
『原因+示唆=課題』の公式を使って、課題設定をしていきます。
◆原因:「なぜこの問題が発生しているのか」を深掘りしていき、根本的な原因がどこにあるのかを特定
◆示唆:「なぜ解決すべきなのか(重要性)」、「なぜ今やらなければいけないのか(緊急性)」などを認識してもらえるように、様々な角度から示唆を与える
◆課題:「どうすれば解決するのか」という、これから取り組むべきこと(=課題)を設定
例① 原因を特定するための質問
- 今までは、情報の安全対策やセキュリティへの投資について、優先順位をどのようにお考えでしたか?
例② 示唆を促す質問
- 世の中がこれだけ情報管理の安全性を求める中で、イメージや社会的責任を守るためにも優先順位を高めるべきですよね。
例② 設定できた課題
御社が今後取り組むべきこととして、
- 情報セキュリティへの投資を早めて、リスクコントロールと安全ブランド確立の2つを実現する。
- そのために「最新のシステムや概念を駆使してここまではしっかりやっている」と開示できる状態を目指す。
- そこで重要になるのが、物理的なセキュリティの強化と、情報閲覧や二次利用をトレースできる状態。
このような計画を具体的に進める必要がある、という課題認識でお間違いないですか?
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ファクトファインディングとヒアリングの違い
ファクトファインディングとヒアリングを比較したときに、お客様に『聞く』『質問をする』という意味では一見変わらないように見えますよね。しかし、発見する課題に大きな違いがあります。
ファクトファインディング |
潜在的な課題を発見できる |
ヒアリング |
顕在的な課題を発見できる |
アウトバウンド営業においては課題が顕在化しているお客様のほうが少なく、そのような状態でヒアリングをしても、成果につなげるのは難しいと言えるでしょう。
潜在的な課題を発見するためには、ファクトファインディングによる能動的な『問いかけによる課題発見』と『傾聴の姿勢』が必要になります。
まとめ
ファクトファインディングのおさらいです。
- ファクトファインディングとは、課題設定力である
- ファクトファインディングの3つのプロセス
- 事業理解のステップ
- 問題発見のステップ
- 課題設定のステップ
- ファクトファインディングとヒアリングの違い
- ファクトファインディング:潜在的な課題を発見できる
- ヒアリング:顕在的な課題を発見できる
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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