お客様に“ささる”提案とは? 伝える相手を意識する提案術
BtoBセールスの現場では、日々お客様に向けてさまざまな提案が行われています。
そんな数ある提案のなかで、お客様にしっかりと「届ける(刺さる)」ためには、相手がどのような立場で、どのような関心や課題を持っているのかをしっかり意識することが重要です。
そこで本コラムでは、役職や役割ごとに異なる提案のポイントと、効果的な提案資料の作り方を紹介します。
商談時のポイント
商談相手によって伝えることを分ける
提案が刺さるかどうかは、「主語」を相手に置き換え、提案内容が相手(お客様)の関心事にあわせるられているか、つまり「誰に向けた提案なのか」を明確にすることが重要です。
案件の提案フェーズでは、対象となる相手が経営者、事業責任者、推進者、監査者、もしくは現場のユーザーといった、登場人物の立場で異なるニーズや関心を持っているため、それぞれに合わせたアプローチが求められます。
例えば、経営者に対してはビジネスのスケールや利益の視点、現場のユーザーに対しては業務負担の軽減や作業効率の向上など、相手の関心に即したメッセージということです。
企業 対 企業という取引関係であっても、決断をするのは「ヒト」であるという背景を忘れてはいけません。法人営業は不特定多数の利害関係者が存在することから、提案には合理性が重視されると思われがちですが、人は合理性だけで決断をしないのです。
営業にとっては受注がひとつのゴールではありますが、顧客にとっては購買・商品導入が社内運用のスタートです。導入に失敗すればその推進担当者のキャリアに傷が付く可能性もあります。
そうした意味では、以下のように役割や立場に応じた不安点や不信点を補う提案をすることで、決断の後押しをすることができるのです。
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経営者
経営効率、利益、ビジネスの拡大に関心がある。
提案では長期的な事業価値や経営改善の観点を示すことが効果的。
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事業責任者(執行役員や部長など)
事業課題の解決、投資効果、昇進を意識している。
具体的なROIや業務改善の成果を中心に提案を組み立てるとよい。
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推進者(課長やプロジェクト責任者など)
担当する領域の課題解決や導入リスクを考慮する。
実務レベルのメリットやリスク軽減を具体的に伝えることで導入を後押しできる。
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監査者(法務や情報システムなど)
リスク管理、安全、効率化がテーマ。
リスクの低減や業務効率化がどのように実現されるかを強調することが重要。
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ユーザー
業務負担の軽減や、業務に関連する問題解決に関心がある。
操作の簡便さや現場での実効性について触れると、関心を引きやすくなる。
聞かれていない説明は控える
提案の場では、時に「念のため補足しておこう」と、聞かれていない・相手が興味を持たない内容まで説明してしまうことがあります。
しかし、初めて説明を聞くお客様と、何度も同じ提案をしている営業では、情報の理解度に大きな差があることを忘れてはいけません。過剰な情報提供はかえって混乱を招き、伝えたいポイントがぼやけてしまうリスクがあるのです。
また、顧客が興味を示していないテーマを詳しく説明すると、逆に信頼関係が損なわれる可能性もあります。商談の中では、お客様が関心を持っている話題に焦点を合わせることが肝心なのです。特に、顧客が「うちには関係ない」と判断しやすい単語や言い回しには注意する必要があります。余計な説明が、ネガティブな反応を引き出してしまったり、疑念を抱かせるきっかけになったりしてしまうからです。
コミュニケーションにおいてギャップが生まれる多くの原因は、お客様が聞きたいことに対して、営業が「伝えたいこと」を話してしまうからです。コミュニケーションが上手な営業は、聞かれた質問に対して顧客が求めている正確な回答をした後、別軸で伝えたい話を訴求するという対応を取ります。
もちろん、聞かれた質問に伝えたい内容をうまく溶け込ませて返答することができればベストではありますが、これは高い思考言語化力が求められるため、上級者向けといえるでしょう。
提案書作成のポイント
効果的な提案書を作成するには、まず顧客のニーズに基づいた「ストーリー」を構築することが重要です。以下のポイントを踏まえて、役職や状況に応じた提案書を作成しましょう。
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骨子を作成し、流れをチェック
資料作成の前にテキストで骨子をまとめ、ゴールから逆算したときにストーリーの辻褄が合っているか確認する。
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ギャップを示す
提案書には、顧客の理想と現状、そしてそのギャップを生み出す要因を明確に記載し、それを埋める具体的な手法や行動案を示す。
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競争優位を強調する
競合が存在する場合は、顧客の課題と自社の優位性を結びつけ、第三者から見ても「選ばれる理由」が納得できるような内容に仕上げる。
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見やすさも重視
資料は見た目も重要。自社のデザインガイドに沿い、顧客にとって理解しやすいデザインを意識する。
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情報の取捨選択
提案書にはメインとなるストーリーのみに集中し、質疑応答や反論対策として補足資料を別途用意することで、提案の主軸がぶれないようにする。
まとめ
営業提案において「だれ宛か」を意識することは、提案が効果的に届くための基本です。加えて、補足説明を減らし、相手の関心事に情報を集中したうえで、ストーリー構成やデザイン、情報を選別することで、より顧客にささる(届く)提案になるのです。
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