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トップ営業は商談で何をしているのか?

はじめに:商談のプロへの第一歩

本コラムは法人営業×新規営業という組み合わせにおいて、様々なチャレンジや試行錯誤をしている新人営業パーソンに向けて執筆しています。
新規営業の世界に足を踏み入れたばかりのあなたにとって、買う予定のないお客様との商談は未知の領域かもしれません。しかし、心配はいりません。商談のプロになるための第一歩を踏み出すために、必要なスキルと知識をご紹介します。
内容については、筆者が社外の方々・社内において、様々な業界やジャンルにおけるトップセールスと出会い、イベントや勉強会、コンテストなどを通して感じたことをまとめて記載しています。


目次[非表示]

  1. 1.はじめに:商談のプロへの第一歩
  2. 2.商談準備の重要性:成功への鍵
  3. 3.自信のある立ち居振る舞い :商談成功の基盤
  4. 4.戦略的なアイスブレイク:関係構築のアート
  5. 5.質問と示唆:お客様の「なるほど」を引き出す
  6. 6.事例の適切な活用:説得力を増すテクニック
  7. 7.質問と反論への対応:信頼を築くコミュニケーション
  8. 8.クロージング:自然で確実な成約へ導く
  9. 9.おわりに:商談のプロとしての成長へ



商談準備の重要性:成功への鍵

新規営業における商談の成功は、事前準備にかかっています。しっかりとした準備が商談の成否を分けるのです。

そもそもアウトバウンドの新規営業において、ほとんどのお客様は買うことを検討していません。そのため、「購買を検討したい」という態度変容や行動変容を促すためには、お客様に気付きや示唆を与える必要があります。示唆を与えられない営業パーソンは、お客様が問題を自覚していない限り商談を先に進めることは難しいでしょう。
そして、その示唆を与えるために必要なのが、商談を深めるきっかけとなる仮説や想定ニーズです。

具体的には、お客様の置かれている状況やこれから先に目指そうとしていることに対して、これから起こりそうなこと/ライバルと比べた時に課題になりそうなこと/世の中の動きやターゲットの動きで知っておいた方が良さそうなこと、などの「比べる」情報です。

トップセールスは、仮説や想定ニーズを出すために、様々な経路での情報収集に精を出します。
WEBサイトやIRなどの「見せることを前提としている化粧された情報」ではなく、すべての商談を通して、“お客様のリアルや本音、ここだけの話”を巧みに捉え、それを別の商談で上手に加工して活用するのです。

加えて、お客様の属性やニーズなど、商談シチュエーションとして近い取引先や知人にリアルな話をインタビューし、顧客解像度を極限まで高めて商談に臨みます。
このように営業側がしっかりと準備し、お客様に関心を持って対話ができていれば、お客様の自己開示も増え、良い提案につなげることができるのです。


自信のある立ち居振る舞い :商談成功の基盤

お客様と向き合う際、自信のある立ち居振る舞い は成功の基盤です。言葉は謙虚でありながら、立ち居振る舞いで自信を表現することで、お客様に安心感を与えることができるのです。

商談ではお客様の課題を設定するための健全な議論が必要です。しかし、その土俵に上がるためには、そもそも営業パーソンとして信用される、第一印象や立ち居振る舞い が欠かせません。私が、男性にセットアップスーツを推す理由は、こうした信用のマイナスポイントを無用に作らないという理由です。

自分に自信を持つためには、自身の強みを理解し、それを活かすことが大切です。
過去の成功体験を振り返り、自分が得意とする分野を見つけましょう。加えて、商談の流れを事前にシミュレーションし、どのような質問が来ても対応できるように準備しておくことも自信につながります。自信を持つことで、商談の場での自然な進行が可能となり、顧客との信頼関係を築くことができます。


戦略的なアイスブレイク:関係構築のアート

商談の始まりにおいて、戦略的なアイスブレイクは関係構築における一種のアートとも言えます。
アイスブレイクのための雑談については、あってもなくてもどちらでも良いとお伝えしています。むしろ、得意でないのであれば、商談のオープニングで雑談を展開すると、余計に大きなアイスを作りかねないのでやめたほうが賢明です。

それでも、オープニングでアイスブレイクを実現したい方は、戦略的アイスブレイクを推進してください。具体的には「雑談するテーマ」を戦略的に決めるということです。例えば、SNSなどを調べて、共通の知人や共通項やお客様が自慢したくなるようなビジネスの実績、お客様が今情報発信したい関心の強いテーマなどです。

いずれにしても、

  • ビジネスの話題
  • お客様が話したいであろうこと

これらを雑談のテーマにすることが重要です。


質問と示唆:お客様の「なるほど」を引き出す

商談において、お客様の「なるほど」を引き出すことは重要です。
良い商談だったかどうかの指標と言ってもいいのではないでしょうか。
「なるほど」を引き出す重要なポイントは以下の5つです。

  • 商談準備の仮説をあてる
  • 売りたい気持ちは一旦横に置き、お客様の関心毎や困りごとに集中して対話する
  • 話題を拡げたり(拡散)、話題を掘り下げて(深堀)、お客様が認識していなかった、ビジネスのための課題を設定する
  • 質問はできるだけ率直に聞く
  • 仮説は持つが偏見をもったり誘導したりせず、フラットに聞く

また、「この方法を試してみると、どのような結果が期待できると思いますか?」といった示唆を与えることで、顧客に新たな視点を提供することができます。これにより、顧客は自分の考えを整理し、商談の内容に納得感を持つことができます。


事例の適切な活用:説得力を増すテクニック

商談における、適切な事例の活用は説得力を増すテクニックです。
事例にも、導入目的や背景をメインにした「導入事例」から、具体的な取り組みや成果にフォーカスした「活用事例・成功事例」など、様々な表現方法があります。
いずれにしても、お客様の業界やシチュエーションに似たパーソナライズされた事例を紹介することで、具体的な懸念の払拭や導入イメージを持たせることができます。


質問と反論への対応:信頼を築くコミュニケーション

商談時の質問や反論への適切な対応は、安心して購買の意思決定をしていただくために欠かせません。
重要なのは、質問に対して、営業が話したいことではなく、お客様が聞きたい内容を伝えることです。営業側が話したいことばかりを伝えてしまうと、お客様は「気になっていることが聞けない」と心が離れてしまいます。

ポイントとしては、抽象度の高い反論に対して、焦らずに具体的な内容を確認することです。
例えば、「高い、というのは金額自体なのか?かけたコストへの投資効果なのか?」といった質問を投げかけることで、顧客の本質的な懸念を引き出すことができます。これにより、反論対策や応酬話法の空振りを抑止することができます。


クロージング:自然で確実な成約へ導く

商談のクロージングは、気持ちよく買っていただくための重要なプロセスです。
ガツガツ押し売りするのではなく、納得感のある意思決定のための後押しくらいに考えましょう。ここでジタバタしても無駄です。無理に訴求して受注をつくっても、「買わされた」という体験だけ残り、クレームやトラブルのガソリンとなってしまいます。


おわりに:商談のプロとしての成長へ

どんなに綺麗事を言っても、目標を達成することが社内での営業職の役割です。なぜなら、営業が目標を達成しなければ会社としての目標も達成できないからです。しかしそれは営業(売り手)側の都合で、お客様には関係ありません。

営業のプロフェッショナルとは、自身の目標達成はもちろんのこと、お客様と向き合う際には数字や売りたい欲は一旦横に置き、目の前にいるお客様の役に立ちたい。という気持ちの切り替えができる営業パーソンなのではないでしょうか。


著者:今井 晶也 (いまい まさや)


株式会社セレブリックス セールスカンパニー
執行役員 カンパニーCMO
セレブリックス営業総合研究所 所長
兼 セールスエバンジェリスト



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