ミライの営業Vol.2~強い営業組織、理想の営業組織を考える~
2020年11月「ミライの営業~新時代を勝ち抜く、営業のキャリア、組織、チームワークを考える~」と題したイベントをオンラインで開催し、『無敗営業』の著者でTORiX株式会社 代表取締役の高橋浩一氏と、”シン・セールス理論”の著者 今井が、コロナ禍での営業職のあり方や組織の理想について対談しました。
セッション2では、「強い営業組織、理想の営業組織」についてディスカッションをしています。
セッション1はこちら
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本記事とあわせて、営業力を高めるための新規開拓チェックリストをぜひご活用ください。新規開拓で生産性を向上させ、成果を高めるためのチェックリストです。営業パーソンや営業組織が持つべき基本的なスタンス、起こすべき行動から、実際の営業活動で実施すべき項目までまとめています。
目次[非表示]
インサイトセールスの重要性短期ステップ~インサイトセールスの重要性~
今井
営業の中でのキャリアステップを、まず短期のステップで4段階で考えてみました。ただ、世の中の営業で一番大事なのが、トップセールスが実施している「インサイトセールス」で、お客様が気付いていない課題を設定して新しい世界を見せ、そこで商品の必要性を説いていくということだと思うんです。
一方で、インサイトセールスを最初から目指そうとする人が多い印象があります。私たちは営業未経験から育てるということをしているんですが、そういった中で気付いたことは、いきなりお客様が気付いていないようなことに質問を深堀りして課題を発見して提案しようとすると、上手くできずに悩んでしまったり営業に向いていないと諦めてしまったりする人が出てきてしまうと実感しています。
お客様の立場で考えた時に、問題意識があること、その問題を認知していること、そして無意識、無関心の領域があった時に、やはり無意識の領域にいきなりインサイトの営業を実践しようとすると、結構難しいなと思うんですよね。ですので、段階を作ってあげることが重要で、まずはお客様の感心ごとに確実に提案できるようになるというステップを踏んだ後に未来志向型の営業をしていくのがいいんじゃないかなと思います。
短期ステップの段階としては、まずは印象作り、そしてオンラインだからこそ相手に注目される言葉の選び方、完璧な商品理解、正確な一問一答。これらがあってその先に質問力を高めて顧客のきめ細やかなニーズに適応して、顧客インサイトを把握して価値訴求をし、専門家として顧客を正しく導く、教える、というステップがあると思っています。
誰しもが理想とする憧れの存在があると思うので、実はそのレベルに達していないのに背伸びして新しいことや先に行き過ぎた情報を鵜呑みにして実践しようとして、失敗してしまうケースってあるんじゃないかなと思っているので、しっかり段階を踏んであげるというのがキャリアステップの中でも重要だと思っています。
未来の営業が目指す姿は「事業開発」としての営業職
長期のステップに関しては、僕がキーワードだと思っているのは「Business Development」、いわゆる事業開発という考え方です。営業活動を通して顧客の事業に影響を与えられる人、これが未来の営業の目指す姿だと思っています。
ご存知の通り、ICTがどんどん加速していく中で、3年遅れてBtoCの営業がBtoBにも訪れたりもするわけですね。そうすると、BtoCのように購買に人が介在しなくなったり、介在する場面が原点的になってきたりすると思います。そうすると、買い手だけでは知りえない情報や専門領域を駆使してお客様をもっと儲けさせれられる人というのが営業の究極形態になると思っているので、難易度はさらに上がると思います。そういう意味も含めて、営業はもっと減って良いと思っていて、高度で地位の高い職業になっていったら良いなと思っています。
他業種に広がりカジュアルになる営業力
高橋
営業職は確かに限られると思うんですけど、営業力はもっとカジュアルに身近に広がっていくんじゃないかと思っています。たとえば、BtoB営業のBtoCと違う点は、お客様が買うことにまつわる責任にあると思います。BtoCの場合、買い物を間違えて損する場合は自分ですけど、BtoBではお客様が購買を間違えると会社が損をしてしまうので、BtoB営業はそこまで急激にはなくならないんじゃないかなと思っています。
ただ、営業の隣の部門の人が営業することって結構あると思うんですよ。たとえばマーケ部門が営業するといった、いわゆるインサイドセールスもそうですし、IT起業ではSEの方に営業をしてもらう場面も増えていて、営業専任ではなかったけれど営業をする人が増えているので、そういう意味では、いろいろな人に営業力が広がっていくんじゃないかなと思っています。営業力があれば割と職業の選択肢が増え、人生の選択肢も増えるので、個人的に大事な能力だと思います。
マネジメントに不可欠なのは言語化力
また、キャリアを高めていく中で、言語化力が大事だな思っています。社内だと、大体売れる人のキャリアって企画に行くか昇格するかのパターンが多いんですけど、元エースの人が企画に行っても、誰がどこで困っているのか理解できなくてはいけないし、できない人の気持がわからないとやはり機能しないんです。ですので、そこを言葉にできるかどうかがすごく大事なのかなと思います。
そうすると、もはや営業職の世界に限られた話ではないなと思います。たとえば、今スタートアップ企業でCOO、つまり事業責任者のポジションがないところが多いので、営業を経験した方にはものすごく魅力的なポジションになると思いますし、目指すと良い職業の一つだと思います。
Q&A
「言語化できるというスキルは部下や営業にどう学ばせればよいでしょうか」
高橋
部下にも教える対象を作ることですね。教えるという行為に伴う学びって大きいですし、中でも言語化力が問われます。正しく腹落ちしていないと正しく伝えられないので、部下の人主催の勉強会など開催して鍛えると良いと思います。
今井
言ったかどうかというのは、言語化において大して重要ではなくて、伝わっているかどうかがすごく大事だと思います。そういう意味では、なるべく自分たちと相手が使う言葉を同じ意味にそろえてあげたり、相手が想像しやすい言葉を使ったりするということがまず第一だと思っています。それから、できる限り単語で区切って相手が単語で想像しやすいように会話をしていく訓練をしていくと、言語化や伝わりやすい言葉選びができるようになってくるんじゃないかなと思います。
「お客さまとディスカッションして気付いていないインサイトを提案するという必要性は認識していますが、新規営業の場合、お客さまとディスカッションできる関係性を作ることが難しいです。関係性を作るためにお二人は何を意識していらっしゃいますか?」
高橋
関係性をさらに具体的にすると、スピードや時間に置き換えられると思っていて、これらはお客様が価値を認識しやすいところなので、僕は時間を味方につけてなるべく早く多く顧客対応をするようにしています。
今井
ディスカッションできない関係を解決するためには、ディスカッションしたい人になるということが、まず置かなければいけないゴールだと思うんですね。そのために、営業活動のプロセスでヒアリングをする前工程までにしっかりと信用される人、信頼される人になっておくということが結構重要だと思っていて、僕が最近意識していることは2つです。
まず1つは、オンライン商談の場合は、最初にルームに入っているのお客様の担当と自分が、多くの人が入ってくる前に仲良くなっておいたりその人を味方につけておいたりすることです。
もう1つが、実は最初のプレゼンテーションの会社説明の仕方というところにコツがあると思っていて、淡々と説明するのではなくて、「なぜ」私たちはこういう事業をしているのか、「なぜ」私たちが御社の役に立てるのかという、「なぜ」文脈で相手をファンにさせておくと、そのあとヒアリングなどがしやすくなるので、是非意識をしてやってみてください。
「インサイトセールスを目指せる状態になった時に、最も大切だと思われる能力は、何だとお考えでしょうか?」
高橋
分かったつもりにならないことですね。常に、自分が知らない何かがあるんじゃないかと模索し続けることが大事だと思いますね。
今井
結局、事実を正確に掴まないと最適な解決策には辿り着けないと思うんですね。ただ、お客様が事実として話していることは事実だと思っているお客様の主観であることが多いと思うんです。なので、もちろんコミュニケーションの取り方は注意しなければいけませんが、ある意味お客様が感じている課題や事実だと思っていることに対してもしっかり正しい問いを与えていって、正しい解を導き出していく、つまり鵜呑みにしないということが大切な姿勢じゃないかなと思います。
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