ミライの営業Vol.1~これからの営業の「優秀像」を考える
2020年11月「ミライの営業~新時代を勝ち抜く、営業のキャリア、組織、チームワークを考える~」と題したイベントをオンラインで開催し、『無敗営業』の著者でTORiX株式会社 代表取締役の高橋浩一氏と、”シン・セールス理論”の著者 今井が、コロナ禍での営業職のあり方や組織の理想について対談しました。
セッション1では、「これからの営業の『優秀像』」についてディスカッションをしています。
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本記事とあわせて、営業力を高めるための新規開拓チェックリストをぜひご活用ください。新規開拓で生産性を向上させ、成果を高めるためのチェックリストです。営業パーソンや営業組織が持つべき基本的なスタンス、起こすべき行動から、実際の営業活動で実施すべき項目までまとめています。
目次[非表示]
『無敗営業』のルーツ
高橋
16歳のころ、飛び込み・テレアポを経験してから「営業」というものが仕事の柱になってきました。その後、新卒で入社したのが戦略コンサルの会社で、2003年25歳の時に独立し起業しました。2019年に『無敗営業』を出版し、翌年に『無敗営業チーム戦略』を出版、発売から2日で増刷をさせていただきました。
なぜ『無敗営業』を出版したのかというと、毎日いろいろな企業の方々とお仕事でご一緒させていただく中で、ハイパフォーマーな方は似ているなと感じるようになりました。ある時、弊社に入ってくるメンバーに、「高橋さん、毎日同じことを話していますね」と言われたんです。確かに毎日同じことを話しているなと思い、お客様と相談しながら振り返ってみると、大体4つの力について話をしていることが見えてきたので、これをしっかり型にして本にしようということになり、本を出版させていただくことになったのが背景です。
中でも「価値訴求力」といった言葉は馴染みが薄いですが、一言で言うと、「必要とされる力」です。必要とされるといっても、関係構築のような路線もあれば、お客様の仕事をお手伝いすることもあれば、良い情報を持ってくることもあって、経営や未来を語るときにパートナーとして見てもらえるかどうかが大事だと思っています。
「シン・セールス理論」のルーツ
今井
今回、シンセールス理論という、ニューノーマル時代でも勝てる営業の理論・メソッドを発表したのですが、実はこれ自体はセレブリックスがもともと持っていた顧客開拓メソッドという営業の原理原則を記したものの派生版なんです。
創業者はリクルートグループ出身でございまして、リクルートでなかなか1位を獲れなくて悔しい思いをしていた時期がありました。そこで、自分を断った企業に一社一社アポイントを取ってキャンパスノートをもって泥臭く足を運び、自分から買ってくれない理由を聞いて回ったんです。その時に聞いた買わない理由を営業活動の中で一つもやらずに推進していったら、リクルートの中で日本で2番まで上がれたらしいんです。
買った理由や売れた理由は属人的な部分が出てしまったり、再現性がなかなか保ちにくかったりするのですが、買わない理由はどの業界やどの分野でも真似しやすいんじゃないかという考えがあり、買わない理由をゼロに近づけるというのがセレブリックスのメソッドでございます。
ニューノーマル時代に必要なハイブリッド営業
高橋
まず、時代問わず必要なものってあると思っていて、それはお客様とのズレを無くすことです。先ほどの買わない理由を無くすというお話も近いと思っていて、買わない理由とズレって根本は一緒じゃないですか。
ただ、コロナの影響でガラッと前提が変わったので、どういう営業スタイルが良いかと聞いたときに、75%が「オンライン」と答えました(2020年7月時点)。全体の大まかな傾向で言っても、オンラインをうまく活用することが前提の営業スタイルになってきているなと思います。
特に、段取りをよくしてお客様を疲れさせないことってすごく大事だなと思っています。オンラインになった瞬間に、「お客様と意志疎通が図れなくなり苦しんでいる」という方が増えたなと思って、そういう意味で、納得感の醸成って大きいなと思ったんですね。また、相対的に低くなっているのはマナーや身だしなみ、価格、人柄といった、従来では結構重要そうな要素です。納得感を作るためにいろいろな手段を組み合わせて使い分けるスキルは非常に大事だと思います。
これまでは、オンライン商談は対面の代わりに行うことが多かったんですけれども、そのパターンは今ではことごとく上手くいかないなと感じていまして、これからは、電話やメールを上手く取り入れたハイブリッド営業が重要になってきます。
最初は対面ありきで、電話やメールは用事のある時だけする場合が多かったと思います。しかし、今の時代に必要なのは、用事だけのやり取りではなくて、お役立ちメールや10分電話商談といったように、顔を合わせなくともプラスの感情を生み出せることが大事だと思っています。これがあると、初めてオンライン商談を打診してもお客様は快く受け入れてくださる可能性が高くなります。そして、対面をオンラインで置き換えられたり、お客様によっては対面を勝負所に持って行けたりして、営業の効率化が図れます。
今求められている営業というところに話を戻すと、状況によって営業手段を選べる人だと思います。どういう手段でお客様と接点を持つかを選べると、お客様へ役立つ力も大きくなっていくんじゃないかなと思います。
OMO化する営業スタイル
今井
今求められる営業が何かというと、高橋さんは「ハイブリッド営業」と仰っていましたが、B2BもB2Cの営業もOMO化(Online Merges with Offlline)と呼ばれる、オンラインとオフラインの融合が非常に重要なテーマになってくると思います。どちらが良いとか悪いとか、どちらか一つではなく、どちらも活用するという欲張りな営業スタイルがトップの流儀だと考えています。
私たちも実はアンケートを取りました。大型商談も小型商談もオンラインで商談する場面が増えているんですが、今、この商談スタイルに苦手意識を抱えている人たちが結構多いみたいで、データを取ってみると、オンラインだと意思疎通やコミュニケーション全般の難易度が上がると思っている人が多いそうです。さらに、相手の表情が読みにくかったり反応がないことでつい焦ってしまったり、質問しにくい、ディスカッションしにくい、ホワイトボードが使えない、といった悩みが出ていました。
オンライン営業の問題とその解決策~セールスコンテンツの作成~
今井
これは僕の自論なんですが、オンライン商談を難しくしている最大の理由は、聞いているお客様側に逃げ場があるかどうかというところだと思っています。オンラインの場合は、興味がなかったら別の仕事を始めたり別のwebサイトを見だしたり、話を聞くこと以外のことができるじゃないですか。そういう意味では、実はオンラインだから反応が悪いわけではなくて、オンラインだと集中しなくて良い環境が生まれてきてしまっているので、それによってお客様の表情がなくなって営業が勝手に焦りだすのだと思います。
一方、これを解消する方法があって、4つの具体的なテクニックがあると思っています。事前準備、味方作り、惹きつけるワーディング、それからセールスコンテンツです。今回は一つだけに絞りますが、今求められる優秀な営業とは、セールスコンテンツを作れてオンラインでお客様と良い商談ができる人なんじゃないかと思っています。セールスコンテンツを活用することで、聞いている方を注目させたり巻き込んだり誘ったり、コンテンツをきっかけに問いや議論が生まれると思っています。中でも究極のコンテンツはその場で一緒に作るコンテンツだと思っています。オンラインだと、意見交換がしにくいとか相手の反応が見にくいといった声がありますが、実はコンテンツを使うと解消できるんですね。
オンラインの良いところは、議論した内容がそのままお客様に送れるというところだと思っています。よく、セールスコンテンツを作るときに何から作れば良いのか訊かれるんですが、お客様と商談でその場で作れば良いと思っていて、これは是非活用いただけると良いんじゃないかなと思います。主役がお客様の感心事というところからずらしてはいけないと思うので、商談の場でお客様と議論した内容やお客様が意見を出してくださった内容がそのままコンテンツになっていくイメージを持っています。
Q&A
「コンテンツの発信には適切な相手に適切な資料を提示することだと思いますが、量が多くなると探しにくくなりますよね。何か情報の整理のコツはありますか?」
今井
ツールを使うのも一つの手ですし、タイトルの付け方を工夫するのも良いと思います。あとはタグ管理で、用途に合わせて引き出せるようにすることもおすすめしています。
高橋
2つあって、一つはファイルのタグには日付記載などのルールを作って徹底することです。あとは、自分のコンテンツに「一軍・二軍・三軍」のラベルをつけるという考え方で、一軍以外も積極的に使いながらネタを増やしていき、一軍を入れる場所だけしっかり決めておくことも良いと思います。
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