テレワーク環境下のマネジメントでアウトバウンドコールのアクション数を上げる方法
テレワーク環境下に入り、リモートで営業活動を実施することが当たり前になってきた組織も多いのではないでしょうか? そんな中、アウトバウンドコールでなかなか成果にコミットできないメンバーに対し、「メンバーの日々の活動が見えづらくなり教育が難しい」と悩むマネージャーが増えてきているようです。 そこで今回は、リモートでのアウトバウンドコールにおいて、マネジメントでメンバーの成果を伸ばすポイントをご紹介します。
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本記事とあわせて、営業力を高めるための新規開拓チェックリストをぜひご活用ください。新規開拓で生産性を向上させ、成果を高めるためのチェックリストです。営業パーソンや営業組織が持つべき基本的なスタンス、起こすべき行動から、実際の営業活動で実施すべき項目までまとめています。
目次[非表示]
- 1.アウトバウンドコールを選択する理由
- 2.アウトバウンドコールを実施するために準備するべきこと
- 2.1.①トークスクリプト、FAQ・切り返し集
- 2.2.②ターゲティング
- 2.3.③ターゲットリスト
- 3.アウトバウンドコールで起こりがちな問題
- 4.セレブリックスが実践している解決策、実践例11選
- 4.1.マネジメント層からメンバーに働きかける施策
- 4.2.メンバーのコールを効率化させる施策
- 4.3.リモート環境で効果的な施策
- 4.4.+αの施策
- 5.まとめ
アウトバウンドコールを選択する理由
アウトバウンドコールを実施することは、営業活動における競争力を高め、ターゲットのシェアを拡大するために非常に重要です。まさにアウトバウンドコールは、営業活動における顧客接点の最初のプロセスとなり、商談のきっかけを作る重要な役割を担っています。以下が、アウトバウンドコールが必要な主な理由です。
- 商談のコントロールが容易(会うべき人に会える)
- 競合よりも早くターゲットにリーチできる
- 数字(目標管理)を読みやすい ・インバウンドでの集客には限界がある
また、アウトバウンドコールの大きな利点として挙げられるのが、「潜在顧客へのダイレクトなアプローチが可能」という点です。 インバウンド施策としてホームページを開設しても、アクセスの大半はすでに企業やサービス内容を知っている顕在顧客によるものです。一方、アウトバウンドコールではまだ企業やサービスを知らない潜在顧客へ営業を実施することができます。電話での営業なら、サービスを知ってもらえる確率が高くなるのです。
アウトバウンドコールを実施するために準備するべきこと
①トークスクリプト、FAQ・切り返し集
アウトバウンドコールに欠かせないものに、トークスクリプトとFAQ・切り返し集があります。トークスクリプトは、営業活動を有利に進めるための基本の型です。 トークスクリプトが必要な理由には、以下の点が挙げられます。
- 営業パーソン個人の感覚や属人的なスキルに頼るのを防ぐため
- 誰がやっても成功の可能性が高いモデルケースを築くため
- 売れない理由を検証するため
FAQ・切り返し集とは、よくある質問への回答集・顧客のネガティブな言葉を払拭するための応酬話法のまとめを指します。FAQ・切り返し集を作成する際は、下記のポイントを押さえましょう。
- キーパーソンに対しては専門用語を使わず、顧客に伝わりやすい「言葉」「表現」を用いる
- あらゆる想定に対して回答を用意する ・営業活動の中で日々ブラッシュアップする
応酬話法のテクニックついては以下記事をご参照ください。
②ターゲティング
営業の成果を左右する最も重要なポイントは「精度の高いターゲティング」です。特に潜在ニーズのある正しいターゲットに接触するスキルを身につけることが、営業で成果を創出するカギになります。
逆に、ターゲティングを間違えると、後の営業活動にズレが生じたり工数がかかったりして、成果に結びつかなくなる可能性が高く、営業活動全般が機能しなくなってしまいます。また、正しいターゲティングをしても、基本情報さえわからないようなターゲットリストを作ってしまっては、本末転倒です。そのため、サービスや商品のニーズがあるであろう顧客が「どこに」いるのかを明確にし、精度の高いターゲットリストを作る必要があります。
③ターゲットリスト
上記のターゲティングで、ニーズのある正しい顧客を把握した後は、ターゲットリストを作成します。ただ、商品やサービスを利用してくれそうな企業を想像してなんとなくリストアップするのではなく、一定の条件に当てはまるターゲティングをすることで、アポイント率も高まります。 ターゲティングで重要な考え方とターゲットリスト作成のポイント、必要な条件については以下の記事をご参照ください。
アウトバウンドコールで起こりがちな問題
上記のような環境やツールが整備できていても、いざコールを実施するとなかなか成果が出ない場合があります。 その際に考えられる問題は、「行動量が足りない」ということです。行動量、つまりコール数が足りないと、取れるはずだったアポイントや受注を逃してしまうことになります。特にテレワーク環境下になると、マネジメントが行き届かず、こういった現象が深刻になってしまうケースが散見されます。
原因としては、
- 「断られる」ことへの恐怖からなかなか架電ができない
- 一つ一つの架電を丁寧に実施しようとするあまり時間がかかり量が追いつかない
- アポイントや受注がなかなか取れずモチベーションが上がらない
といったものなどが考えられます。
では、どのような対策を講じれば行動量を担保できるのでしょうか?次章では、セレブリックスが実際に行っている、マネジメントにおける対策や工夫をご紹介します。
セレブリックスが実践している解決策、実践例11選
マネジメント層からメンバーに働きかける施策
①各メンバーにとって「新鮮な」コールリストを提供する
過去に架電経験のある企業へは、「断られそう」という先入観から、コールに対して躊躇する気持ちが生まれがちです。メンバー間でのリストシャッフル、別のオプションを提示して攻め方を変えさせる等提案サービス領域の見直し、新規リスト作成・追加交渉等を行うことで、コールをするメンバーにとって新鮮味のあるリストを提供する工夫をしています。
②「君を昇格させるために」という前置きをつけて、行動量担保の重要性を理解させる
メンバーには、「昇格のためにはあくまでKGI達成が大事」だとは伝えていますが、一方で昇格してマネジメントをする立場になるとKPIのマネジメントも必須となっていきます。KPIマネジメントができるようにするためには、自分のKPIの管理・分析ができるようになっておく必要があります。そのときのための練習として、すなわち「君を昇格させるために」自分の行動量管理をするよう指示しています。そうすることで、自ずと「成果」と「プロセス」が同等の重要性を持つと理解されることが理想的な状態です。
③行動量達成までの残り件数を明確に示す
行動経済学の目標勾配仮説*においては、「目標に近づけば近づくほど、その目標に対する価値が高まり、モチベーションアップする心理現象」が提唱されています。途中で「もう無理だ」「嫌だ、やめたい」と思っていても、ゴールが目の前に見えてくると「もう少しだから最後まで頑張るぞ!」と活力が湧いてくるのです。行動量担保においても、こちらの仮説を活用して、「コール数達成まであと〇件!」と口頭で伝える等、メンバーに明確に示すことでモチベーションをアップさせています。
*目標勾配仮説とは:https://gimon-sukkiri.jp/goalgradient/
④なぜその目標になっているのか、メンバーにしっかり伝える
行動量目標について、なぜその目標になったのか、計算のフローを示しています。たとえば、「今月のアポ目標は〇件だから、先月のコールアポ率△%を考えると〇÷△=□件のコール数が必要だね」「現状のコールアポ率は3%だから、今月はコール質を少し上げて3.1%のコールアポ率を目指して、コール目標を○件に設定しよう」等。そのコール数を目指すことへの納得感を醸成するためです。KPIを自分で設計させて、自分で腹落ちできる目標を宣言させるのも良いでしょう。
メンバーのコールを効率化させる施策
⑤タイピングゲーム等でタイピングの練習をさせる
タイピングが遅いと、コールの記録を残すのにどうしても時間がかかってしまいます。タイピングの遅いメンバーがいたら、タイピングゲーム等を使ってタイピングの練習をさせましょう。
⑥ヒアリング項目のフォーマットを作成する
あらかじめコール時のヒアリング項目はフォーマットを作成し、入力の手間をなくすことで、効率化をしています。たとえば担当者の役割や、他社サービスの利用有無など、必ず聞く項目はフォーマット化しておくべきです。
⑦コールアポ率が高いカテゴリのリストを優先的にメンバーに渡す
リストアップされた企業について分析し、コールアポ率の高いカテゴリのリストを優先的にメンバーへ展開します。成果に繋がりやすいリストにコールする方が、メンバーとしてもコールするモチベーションが上がります。週次ごと等、高い頻度で更新できると良いでしょう。
リモート環境で効果的な施策
⑧Zoomをつなげたままコールを行い、出社時のような環境を作る
在宅勤務で一人でコールをしていると周囲にメンバーがおらず、マネジメントも行き届かなくなるので、コール業務にも力が入らない傾向があります。ZoomやGoogle meetなどのオンラインツールを繋げたまま電話をしてもらい、出社時のような環境を疑似的に作りだすことで、メンバーのモチベーションを保つことも効果的です。
⑨画面共有を用いて、コールの一連の流れを「追体験」させる
コールの一連の作業も、コールする企業を調べたり、コール後SFAに内容を入力したり、様々な作業に分解されますが、この作業の一つひとつは効率化できるテクニックが潜んでいます。リーダーにとっては当たり前の効率化作業も、初心者メンバーはやり方を知らないことが往々にしてあります。こちらを防ぐために、ベテランメンバーからコールの流れを画面共有しながらレクチャーしてもらう、「追体験」型のレクチャーを行っています。逆にメンバーの工数を「追体験する」場合もあります。作業に慣れてきたメンバーの工数改善を図りたいときには、メンバーに入力作業を録画してもらい、簡素化できる部分をチェックするといった手法も効果的です。
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本記事とあわせて、営業力を高めるための新規開拓チェックリストをぜひご活用ください。新規開拓で生産性を向上させ、成果を高めるためのチェックリストです。営業パーソンや営業組織が持つべき基本的なスタンス、起こすべき行動から、実際の営業活動で実施すべき項目までまとめています。
+αの施策
⑩アポ取り大会を開催してモチベーションアップ
ゲームを取り入れてモチベーションを上げる施策も効果的です。コール数の一番多い人にMVP券をあげ、5枚たまったら賞品贈呈するゲームや1コール1pt、1アポ10ptとして40pt獲得を目標にするといったポイント制度の導入等も行っています。
⑪現場リーダーからメンバーに「一緒にやろう!」と声をかけ、数時間一緒にコールする
上から「やって」と言うだけではなく、リーダーも一緒にコールするという行動で見せることによって、メンバーも「やらなくてはいけない」という気持ちが増します。
まとめ
今回は、リモートでのアウトバウンドコールにおいて、マネジメントでメンバーの成果を伸ばすポイントをご紹介しました。 テレワーク環境下で、アウトバウンドコールの成果がなかなか出ない場合は、メンバー側の対策だけでなくマネジメント側の工夫も必要になってきます。今回ご紹介した対策例を是非参考にしていただき、営業組織のパフォーマンス向上を目指していただければと思います。