見込み客を育てるために必要なこととは?~リードナーチャリングの基本~
リードナーチャリングとは、顧客の状況や購買プロセスに合わせてアプローチを行うことで新規顧客を獲得するマーケティング方法の1つです。うまく運用出来れば、過去成約に至らなかった見込み客や埋もれている新規顧客を掘り出して獲得できる可能性が高まるのです。今回のコラムでは、見込み客を顧客へと育てて受注を勝ち取る「リードナーチャリング」についての基礎知識をご紹介いたします。
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目次[非表示]
- 1.リードナーチャリングとは?
- 2.見込み客が持つ購買心理・購買プロセスの流れ
- 2.1.①認知・興味(商材の存在を知って興味を持つ段階)
- 2.2.②検討・比較
- 2.3.③導入・評価
- 3.リードナーチャリングの必要性
- 4.リードナーチャリング4つのメリット
- 4.1.①適切なタイミングで見込み客にアプローチできる
- 4.2.②所有している施設や広告媒体を活用できる
- 4.3.③長期フォローによる信頼関係が構築できる
- 4.4.④継続的な受注が期待できる
- 5.リードナーチャリングを行うために必要なもの
- 6.リードナーチャリングの手法
- 7.リードナーチャリングのステップ
- 7.1.①見込み顧客の収集
- 7.2.②MA(マーケティングオートメーション)ツールの導入と可視化
- 7.3.③見込み顧客のセグメンテーション
- 7.4.④ニーズの把握
- 7.5.⑤シナリオとコンテンツの作成
- 8.マーケティングオートメーションの活用
- 9.まとめ
リードナーチャリングとは?
リードナーチャリングは直訳で「見込み客を育てる」という意味です。すぐには成約にならない見込み客を中長期的にフォローし、成約に至る顧客になるまで育てるマーケティング手法です。企業を含む消費者にはモノやサービスを購入するまでの段階として「購買プロセス」があり、「興味」「比較検討・導入」「評価」という順番で進行していきます。
商談後、受注に至らなかった見込み客は、この購買プロセスが「比較検討・導入」まで進んでいないケースが多く見受けられます。営業パーソンの手腕により受注につながる場合もありますが、最終的に顧客が「いまは必要ない」と判断することも少なくありません。リードナーチャリングでは、このような見込み客に対して段階的なアプローチを行い、最終的に受注へと導くまで(あるいは顧客が必要性に気付かせる)が目的となります。
見込み客が持つ購買心理・購買プロセスの流れ
人や企業には新たにモノやサービスを購入する際、そこに至るまでの過程があります。課題を認識するきっかけは企業それぞれですが、基本となるプロセスは同じです。リードナーチャリングをはじめとするマーケティングを行う場合は、ターゲット顧客の購買プロセスをしっかりと理解することが非常に重要となります。購買心理・購買プロセスの基本的な流れは以下の通りです。※なお関係性としてはBtoBを想定しています。
①認知・興味(商材の存在を知って興味を持つ段階)
何かしらの課題が自社内で発生し、その解決策として商材の存在を知り興味を持つ段階です。
いくつかの商材が候補となるケースも多く、その中でどの分野の商材がもっとも効果的かなどの情報収集を行うプロセスでもあります。
- いま発生している課題は対処すべき課題なのかどうか
- 課題を解消することで得られるメリットはどれくらいか
- 自社と同じ課題を抱えている他社はどのような方法を選んだのか
- 解消するにはどのような商材があるのか
明確なニーズはまだ顕在化しておらず、ひとまず問題や課題を認知しただけです。具体的に「こんな商材を使って課題を解消したい」といった要望は、まだ潜在ニーズとして沈んでいます。この段階の見込み客には、メルマガやニュースなどでその課題を解消するための方法を啓蒙していきましょう。
②検討・比較
情報を集めたことで自社の課題と対処方法がより明確になります。予算や自社のリソースを含めて、どの業者のサービスを導入するか比較・検討を行う段階です。ここで見込み客のニーズが顕在化し、自社に必要な機能や求める条件なども決まってきます。
企業が新たなサービスを導入する場合は、部署ごとでの影響なども視野に入れなければならないため、関わる人の数も多くなるのが一般的です。そういった事情も視野に入れて比較・検討を行い、もっとも相性がよいと判断されたサービスが採用されます。
この段階の見込み客は、同業他社と比較をしている段階ですので、ニーズに求めた提案を持ち込むことで成約につながる可能性が非常に高いのです。リードナーチャリングでも実際に営業パーソンが訪問して、直接クロージングを行う段階となります。
③導入・評価
比較検討を重ねて、もっともニーズを満たしたサービスが導入されます。また導入後にサービスの性能・品質が評価され、次回以降のリピート率などに影響してくる段階です。サービス導入後も継続的にフォローやサポートを行うことで、別サービスでの成約も期待できます。以上3つの購買プロセスを把握してそれぞれのタイミングで適切なアプローチを行い、見込み客を育成していくのがリードナーチャリングです。
リードナーチャリングの必要性
一般的に企業が新規開拓で重要視しているのは、今すぐ成約につながる可能性が高い見込み客です。もちろん営業パーソンも毎月の目標を追いかけているので「半年後や1年後に検討する」という顧客を後回しにしてしまい、結果として取りこぼしているケースは少なくありません。マーケティングオートメーションのメーカーであるマルケトの情報によると、「今は必要ない」と断った顧客の80%が、2年以内に同業他社と契約している、というデータがあるようです。
リードナーチャリングではこれらの見込み客に対して、メルマガ・ニュース・セミナーなどで定期的に案内・啓蒙を行って育成していくのが基本姿勢です。見込み客の購買プロセス・状況変化に合わせて、都度必要になる情報を段階的に伝えていきます。そうすることで、従来まで取りこぼしていた見込み客を顧客として獲得することができ、顧客側も自社の売上向上や業務改善の方法を知ることができるのです。
リードナーチャリング4つのメリット
従来の営業スタイルとは異なり、中長期的な信頼関係構築に注力するリードナーチャリングですが、すぐに利益を上げたいと思う企業や営業パーソンにとっては、じれったいと感じる方法かもしれません。しかし、結果的にはリードナーチャリングを行ったほうが、売上や利益は上がりやすくなるのです。
①適切なタイミングで見込み客にアプローチできる
通常のメール一括配信では、見込み客の状況に合わせたアプローチは難しくなります。その点において、リードナーチャリングでは見込み客の購買プロセスごとにセグメンテーションするため、各企業と購買プロセスに合わせた最適なアプローチが可能です。
なお社内で見込み客の情報を統一する際には、顧客情報管理に適したサービスを導入する選択肢もあります。リードナーチャリングをはじめる前には、必ず社内にある見込み客情報の整理から行ってください。見込み客情報の管理を行わないと、同じ企業に対してアプローチが重複するなどのトラブルが発生しやすくなります。
②所有している施設や広告媒体を活用できる
自社で展示場やセミナー会場を所有している場合は、リードナーチャリングで活用することができます。見込み客の育成には自社セミナーや勉強会も効果的なので、所有している施設や広告媒体を積極的に使用していきましょう。共催セミナーで他社と共有するのも1つの方法です。
また状況によってはセミナー自体を事業化できる可能性もあるでしょう。リードナーチャリングを行う過程でセミナーを開催する機会は確実に増えていくので、これをきっかけに新たなビジネスが生まれるかもしれません。
③長期フォローによる信頼関係が構築できる
見込み客が検討・比較を行う前からアプローチを開始するので、導入段階になるころには他社が介入できないほどの信頼関係を構築することも可能です。従来の営業活動では相見積などになっていたような現場でも、リードナーチャリングで構築された信頼関係があれば、新規開拓よりも受注獲得の確率が上がるのです。
④継続的な受注が期待できる
見込み客が抱える課題は1つではなく、随時発生するものです。リードナーチャリングで構築された信頼関係は、その後の取引にもよい影響を与えてくれます。どういうことかというと、顧客に別の課題が発生したとき、優先的に相談をしてもらえるようになるのです。
このような見込み客を増やしていけば、いずれは紹介や評判だけでも案件が成約発生するようになるでしょう。リードナーチャリングには上記以外にもさまざまな利点があります。実地することによるリスクやデメリットはほぼなく、これからの営業活動には必要不可欠な手法となっていくでしょう。
リードナーチャリングを行うために必要なもの
リードナーチャリングを実地するために、最低限必要な情報やツールについてご紹介いたします。これまで集めた顧客情報や名刺などもそのまま転用できるので、ぜひ実践してみてください。
①自社の見込み客情報を集めたデータベース
まずはリードナーチャリングで育てるための見込み客リストが必要です。過去にもらった名刺・連絡先など、将来顧客となり得る会社の情報を集めます。ちなみにセレブリックスでは、名刺管理システムのSansanを活用してデータベースを構築しています。
②アプローチを行うための資料・場所・ツール
広告やwebサイトで集客したユーザーを、見込み客として囲い込むためには自社サービスの資料が必要となります。またセミナーを開催するにあたり自社の展示場などを所有していない場合は、別途貸し会議室などを用意しなければなりません。
その他WEB上でターゲットユーザーが、広告や自社サイト内でどのような行動をしているかを観測するために、別途マーケティングツールの導入も検討するべきでしょう。セレブリックスでは、マーケティングツールのSATORIを活用しています。
上記の3点があれば、リードナーチャリングを実地することができます。ある程度分析に慣れてきたら、より効率化を目指して御社にあったシステムやサービスを導入するのも良いでしょう。
リードナーチャリングの手法
リードナーチャリングには、主に5つの手法が存在します。
- メール
- 広告
- オウンドメディア
- SNS
- セミナー
①メール
一概にメールと言っても種類が存在し、一度に大量のリードに情報を共有するメルマガや、ストーリー性のある複数のメールを定期的に送信する「ステップメール」、条件ごとに分類された見込み顧客群ごとに内容を変えて送信する「ターゲティングメール(セグメントメール)」などがあります。
特に、ターゲティングメールは顧客の行動や状況に焦点を当てた内容になっているので、アポイントや商談につながりやすいのが特徴で、より短期的な売上を狙うには適した手法です。
セレブリックスのターゲティングメールの例
この度はコンテンツをダウンロード頂きありがとうございました。参考になる点はございましたでしょうか?
貴社webサイトにもありましたが、実態に伴った社員の健康対策を実現できている企業は多くないように感じます。
弊社では、マーケティングとの連携により高い確率でリードを顧客化出来ると考えています。
昨日、他社様の支援事例の取材でもお伺いしましたが、弊社が支援することでマーケとセールスの壁を未然に防ぐための営業活動を実施することが可能です。
是非、リードに対して有効な営業活動を実施することでサービス認知を拡大し、より多くの企業の健康対策が促進される状態を目指したいと思います。
営業の細かい戦術施策、営業組織構築でお困りごとがあればお話を聞かせていただけますでしょうか。
弊社の支援実績から成功や失敗の事例も踏まえ最善策を是非、一緒に考えさせてください。
②広告
企業IPから広告配信先を限定して配信を行う企業ターゲティング広告や、Webサイトに来訪した見込み顧客に対して広告を出すリターゲティング広告などを活用してリードナーチャリングを行う手法です。セレブリックスはFacebook広告に広告を出稿しており、セレブリックスのサイトに訪れた方にリターゲティングして表示されるような仕組みを採用しています。
③オウンドメディア
オウンドメディアとは、自社で運営するサイトのことで、見込み顧客やターゲットのためになる情報を発信することで、会社を知ってもらったりブランドの向上につながったりします。
ただ、オウンドメディアはサイトの立ち上げに時間が掛かったり、見込み顧客でない方も訪れる可能性が高いため、短期的に効果が出るものではありませんが、軌道に乗ればリードナーチャリングとして活用できるでしょう。セレブリックスでは、「Sales Ship」というオウンドメディアを運営しており、営業のさまざまな情報やトップセールスの方々のインタビュー記事などを掲載しています。
④SNS
SNSマーケティングは、現代において不可欠な存在になっており、B2CだけでなくB2Bでも多く活用されている手法です。たとえば、FacebookやTwitterで企業アカウントや個人アカウントを開設して情報発信をすることで知名度や信頼度が上がり、セレブリックスの場合は案件の相談まで発展することもあります。
⑤セミナー
言わずもがな、多くの企業が実施している手法なのではないでしょうか。最近は、コロナウイルスの影響もあり、遠隔でウェビナーを実施する場合が多いかと思います。セミナーやウェビナーの場合、顧客の氏名や連絡先など個人情報を獲得することができるので、ぜひ取り入れたい施策の一つです。
リードナーチャリングのステップ
具体的にどのようなステップでリードナーチャリングを実施すれば良いのでしょうか?今回は4つのステップに分けて説明します。
①見込み顧客の収集
前項で述べたように、リードナーチャリングの手法は多岐に渡っています。あらゆる手法で獲得した見込み顧客を一つにまとめてっデータ化する作業から始めます。名刺が無い場合、スプレッドシートやExcelなどを利用して統合させましょう。
②MA(マーケティングオートメーション)ツールの導入と可視化
リードナーチャリングを実行するためにMAツールを導入することは大切です。MAツールにデータを蓄積することにより、見込み顧客のチャネルを超えて連携することができます。また、ユーザーの行動や状況を可視化し、最適なタイミングでリードナーチャリングを行なううえでもMAツールの導入は重要です。
③見込み顧客のセグメンテーション
業界や業種、会社の規模などでセグメントしたりするのが有効です。これにより、それぞれの顧客に合った施策やアプローチができるようになり、質の高いリードナーチャリングが可能となります。
④ニーズの把握
顧客がどのような悩みや問題を抱えているのかを把握します。具体的な手法としては、顧客へのインタビューやMAによる行動観察、営業パーソンへのヒアリング、Web上の行動履歴などから考察をします。
⑤シナリオとコンテンツの作成
ここで重要なのは、セグメント分けされた見込み顧客に対して、関心のあるコンテンツを作ることです。たとえば、セミナーや展示会で訪れた顧客の温度感が情報収集程度なのか、導入を検討しているのかで、提供するコンテンツも異なりますよね。
ターゲットと目的を明確することが重要ですので、それぞれのコンテンツがどんな状態の顧客に見てもらいたいのか、また、その後にどのようなアクションをとってほしいのかを明確にした上で、コンテンツを作成し、提供する必要があります。
マーケティングオートメーションの活用
MAツールについては前項でも触れましたが、ここではさらに具体的にご紹介します。MAとは、企業のマーケティング活動を自動化するためのツールを指します。欧米企業では当たり前に利用されてきましたが、日本では2010年代にようやく浸透しはじめました。
MAを取り入れることで、それぞれの購買プロセスに応じたコンテンツの配信や属性の分析を自動で行うことができるとともに、それぞれの作業を自動化することで人的ミスを防ぐことができます。また、マーケティング担当者の時間は限られているため、MAツールによって、効率的に見込み顧客の育成を進めていくことができれば、これまで見逃していた見込み顧客のフォローを徹底することができ、商談創出にもつながります。
MAを利用することで、以下のような機能を使えます。
- 見込み顧客リストの一元管理
- メールによる見込み顧客との継続的なコミュニケーション
- “今、サービスを検討している”顧客の抽出
MAを導入することで営業活動やマーケティング活動が効率的になり、かつ見込み顧客に漏れなくアプローチできることは、リードナーチャリングの理想の一つになるでしょう。
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まとめ
リードナーチャリングは、これからの営業で主流になっていく手法の1つだと考えています。ぜひリードナーチャリングを実践して、潜在顧客を見込み顧客に育て上げ、売上に繋げていただければ幸いです。もし、このコラムをお読みの方で、リードナーチャリングにご興味のある方は、是非ご相談ください。
実際にリードナーチャリングを成功させている、セレブリックスのコンサルタントと一緒に、御社の営業活動をより良いものにしていきましょう。また、セレブリックスではリードナーチャリング支援も承っています。リードナーチャリングの仕組みづくりや型化についてお困りの場合はお気軽にご相談ください。
出典
Mtame.jp. 2019. リードナーチャリングとは?見込み客を顧客へ育成する手法と事例
URL:https://mtame.jp/content_marketing/lead_nurturing/