カスタマーサクセス(CS)とは?カスタマーサポートとの違いも解説
カスタマーサクセスとは、既存顧客の維持や単価向上により、一顧客当たりのLTV(顧客生涯価値)を最大化することです。なんとなく意味はわかっていても、カスタマーサクセスの業務や、カスタマーサポートとの違いについては理解が曖昧になっている方も多いのではないでしょうか。この記事では、カスタマーサクセスが普及してきた背景や業務のプロセス、さらにカスタマーサポートとの違いを解説します。
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カスタマーサクセスとは
カスタマーサクセスは、直訳すると”顧客の成功”という意味です。その訳のとおり、カスタマーサクセスは『”顧客の成功・成長”を導く取り組み』のことを指します。あなたは何かのサービスを使っているとき、途中で使い方がわからなくなって、サポートに問い合わせるまでのプロセスすら面倒に感じてしまった経験はありませんか?
カスタマーサクセスはそのような顧客に向けて、困りごとが起こる前に能動的な働きかけをしていくことで顧客満足度を高め、継続的な利用やアップセル・クロスセルを促します。
◆アップセルとは?
通常商品よりも高いモデルの商品を提案し、購入してもらうこと
◆クロスセルとは?
検討している商品に関連のある商品や、オプションとなる商品を併せて提案し購入してもらうこと
カスタマーサクセスが普及してきた背景
カスタマーサクセスは2000年代初頭のアメリカ発祥で、2017年頃から日本で注目され始めたと言われています。『SaaS(Software as a Service)』や『サブスクリプションモデル(サブスク)』のビジネスが広まるにつれ、この考えが重要視されるようになりました。
その背景は、顧客との関係の変化にあります。
これまでは、製品が購入された時点で顧客との関係は終了していたので、サポートはそれほど重要視されていませんでした。しかし、サブスクリプションモデルでは、顧客が製品を契約してから関係が始まります。このように顧客との関係が変化したことによって、企業は顧客に継続して利用してもらうため、『顧客の成功』に寄り添う必要性が高まってきたのです。
◆SaaSとは?
インターネット経由で利用できるソフトウェアのこと。代表的なサービスとして、Slack、Chatworkのチャットツールや、ZoomのWeb会議ツールなどがある。
カスタマーサクセスの業務とプロセス
カスタマーサクセスは顧客のライフサイクルに応じて、大きく分けて4つのプロセスがあります。
①顧客を教育する『オンボーディング』
オンボーディングは、船や飛行機に乗っているという意味の「on-board」から派生した言葉です。顧客ライフサイクルにおいて、オンボーディングは最も重要なフェーズです。顧客がサービスを契約後、スムーズにサービスを利用できるようにオンボーディングで教育をおこないます。
サービスの価値と使い方をレクチャーし、導入初期にありがちな不安や課題を事前に解消していきます。早期解約を防ぐためにも、契約後、顧客の熱量が高いうちに、オンボーディングを完了させることが重要です。
②顧客の自走を目指す『アダプション』
アダプションとは、導入後ある程度使えるようになった顧客に対して、本格的にサービスを運用・活用し、定着をうながすフェーズです。それにはまず、顧客にとっての成功は何か?を定義する必要があります。ここでの成功の定義は、サービス提供側の意図どおりに顧客がサービスを利用することではありません。その先にある、『このサービスを利用して顧客が実現したい目的』を知ることが大切です。
その上で、顧客に自分たちのサービスをより活用してもらうためには、さまざまなコンテンツが必要になります。
- アクションプラン策定
- マニュアルの用意
- ベネフィットがわかる活用事例の紹介
- セミナーの実施
顧客の状況にあわせて、徐々に最適なコンテンツを増やしていきましょう。
③サービスの維持・拡大を目指す『エクスパンション』
エクスパンションは、 「拡大」「伸張」「展開」などの意味があります。顧客の自社サービスの活用を、さらに拡大するフェーズです。契約更新や、更新のタイミングで顧客の利用単価を上げるためのアップセル・クロスセルの提案がこのフェーズに含まれます。
継続利用してもらうために不安要素がないかを確認したり、予算が確保されるタイミングで顧客にヒアリングをしながらアップセルを提案したりすると良いでしょう。
④サービスの継続的な改善『プロダクトフィードバック』
顧客に長期的にサービスを利用してもらうためにも、サービスの継続的な改善は欠かせません。定期的に新機能の実装をすることによって、新たな活用方法やアップセルを提案しやすくなります。
また、顧客からの意見をサービスに反映させたり、小さな不満をひとつひとつ解消していくことで、既存顧客全体の満足度向上につながります。顧客ニーズを拾い上げる仕組みの構築や、社内アンケートを定期的におこなうことも大切です。
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い
カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、一見大きな違いがあるようには見えないかもしれません。しかし、『顧客満足度の向上』という点では共通しているものの、本質的には大きく異なります。
カスタマーサクセス:そもそも問題を発生させない『攻め』の姿勢
カスタマーサポート:問題が発生してから対処する『守り』の姿勢
その他にも、それぞれの違いについてまとめました。下記の表をご覧ください。
カスタマーサクセス |
カスタマーサポート |
|
---|---|---|
共通 |
顧客満足度の向上
顧客の声を拾い、他部門と連携してプロダクト改善につなげる |
|
目的 |
既存顧客の維持や単価向上により、一顧客あたりのLTVを最大化すること |
顧客の問題を解決する |
スタンス |
能動的 企業から顧客へ、先回りして解決 |
受動的寄り 顧客から企業へ、問い合わせが来てから対応 |
指標
(KPI/KGI)
|
解約率、更新率、オンボーディング(導入・定着)完了率、NPS、アップセル・クロスセルなど |
対応件数、解決件数、顧客満足度など |
売上貢献 |
契約の延長、アップセル、クロスセル |
なし |
◆NPSとは?
Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)の略で、顧客ロイヤルティ(企業やブランドに対してどれくらいの愛着や信頼があるか)をはかる指標。
◆LTVとは?
Life Time Valueの略で、顧客生涯価値の訳。一人、あるいは一社の顧客が、特定の企業やブランドと取り引きを始めてから終わりまでの期間内に、どれだけの利益をもたらすのかを算出したもの。
カスタマーサポートのスタンスに『受動的寄り』と記載したのは、カスタマーサポートが一部能動的なアクションを起こしていることもあるからです。
例
- 東日本大震災時に電話やSNSを通じておこなわれたアクティブサポート
SNSのツイートからサポートを必要としている人を探し、DMを送付する
このほかにも、価値提供や組織の位置付け、顧客との関与などにも違いがあります。
まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございました!カスタマーサクセスのおさらいです。
- カスタマーサクセスとは、既存顧客の維持や単価向上により、一顧客当たりのLTV(顧客生涯価値)を最大化すること
- カスタマーサクセスが普及した背景は、顧客との関係の変化にある
- カスタマーサクセスのプロセス
- ①オンボーディング
- ②アダプション
- ③エクスパンション
- ④プロダクトフィードバック
- カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い
- カスタマーサクセス:そもそも問題を発生させない『攻め』の姿勢
- カスタマーサポート:問題が発生してから対処する『守り』の姿勢
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