業務中の服装に関する調査(全体、営業職編) / セレブリックス営業総合研究所
業務中の服装に関する調査(全体、営業職編)
明治維新以降、洋装の広がりとともにビジネスパーソンの戦闘服はスーツが主流となっていきました。その後、2005年にクールビズが取り入れられ、夏の一定期間のみ一部カジュアルな装いがはじまりました。
そして現在では、季節を問わずオフィスカジュアルが浸透してきたように感じます。
一方で、営業職が会社のフロントラインに立ち、顧客と接する職種であるということは変わっていません。営業職の服装や服装への意識、服装に関する周囲からの意見は、どのような実態なのでしょうか?
今回、営業総合研究所では、営業の第1印象を決める大切な要素である服装や身だしなみについて、簡易調査をいたしました。
- 全職種の服装や服装に対する意識
- 営業職の服装や、業績との関係
- 営業を受ける顧客の、営業職の服装に対する意見
これら3つに関して行った調査の結果を、2回にわけて掲載いたします。
調査概要
調査方法:webアンケート(3回実施)
調査対象:①23歳~59歳の会社員
②23歳~59歳の法人営業職
③23歳~59歳の営業を受けた経験がある方調査時期:2023/7/22~30
調査項目:業務中の服装に関する調査
回答数:①3000名
②200名
③250名
ハイライト
- 全職種の服装や服装に対する意識
- 営業、人事関連職のスーツ割合・服装への意識が高い
- 社内外の方と関わる機会が多い職種が、服装への意識が高い?
- 営業職の服装や、業績との関係
- 営業職の46.5%が服装と業績に関係があると回答
- 役職が上がるにつれ、服装と業績の関係があるかという問いに肯定的
属性
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業務中の服装に関する調査(全職種)
営業職の服装に関して調査するにあたり、まずは全職種の中で営業職とその他の職種に違いがあるのかを調査しました。
まず業務中の服装を全職種で見てみると
- スーツ(セットアップ、ジャケパンを含む)が合わせて29.8%
- オフィスカジュアル(ジャケットあり・なし含む)が合わせて約半数の44.9%
という結果となりました。
※ジャケパン=上下で同一ではないジャケットとパンツを合わせたスタイル
職種別に見てみると、
- スーツ(ジャケパン含む)の割合が高い職種は、営業関連職が連なる
- 営業(法人)47.3%、営業企画42.4%、営業(個人)37.8%
という結果が見受けられます。
これらの背景として、営業職が会社のフロントラインであり、顧客と接する機会が多いということが考えられます。また、営業関連職以外にもスーツの割合が高い職種として、採用が41.7%となっていることも、同様の背景が伺えます。
次に、業務中の服装への意識や考えを測るために、
- 業務中の服装・身だしなみに気を遣っていますか(又は遣っていると思いますか)?
を伺いました。
全職種で見てみると、
- (どちらかと言えば)そう思うと回答した割合が合わせて49.4%
- (どちらかと言えば)そう思わないと回答した割合が合わせて23.9%
という結果となりました。
職種別に見てみると、
- (どちらかと言えば)そう思うと回答した割合が高いのは、人事労務が64.6%、営業(法人)が62.8%、営業(個人)が61.2%
となっており、先に述べたように、スーツの割合が高い営業職は、身だしなみへの気遣いも高く持っていることが見受けられます。
最後に、実際にビジネスに関する服装やビジネスアクセサリーを購入する頻度を伺いました。
全職種で見てみると、
- 「1年に1回以下」が約半数
という結果となりました。全体としては、月単位で購入する割合は比較的低くなっています。
職種別に見てみると、
- 「2,3カ月に1回」~それ以上の頻度で買っている割合は、営業関連職やマーケティング、人事労務などが約半数以上と比較的高い
- 経営企画/戦略73.9%、営業企画67.4%、人事/労務72.0%
ということが見受けられます。
業務中の服装に関しては、職種として営業・人事関連職が気を遣っている割合が比較的高いことが本調査結果から見受けられました。
これらの背景としては、営業関連職・人事関連職ともに社内外の方と関わる機会が多く、自然と服装や身だしなみへの意識も高くなっている、ということがあげられるのではないでしょうか。
業務中の服装に関する調査(営業職)
全職種の中でも、営業職はスーツを着用している割合・服装や身だしなみに気を使っている割合が比較的高いことがわかりました。
次は営業職のみに焦点を当て、業界や役職ごとでの違いがあるかどうかを図るために、営業職200名に対して追加で質問いたしました。
改めて業務中の服装について営業職のみで見てみると
- スーツ(セットアップスーツなど)が34.7%と最も多く、スーツ(ジャケパン)も合わせると47.2%と約半数を占める
- オフィスカジュアル(ジャケットあり・なし含む)もスーツの割合と同程度
という結果となりました。
営業職に絞って見てみても、オフィスカジュアルが浸透してきていることが見受けられます。
次に、このような服装への意識と、営業職の業績の関係を測るために
- 営業する際、顧客や案件に合わせ、服装(スーツやネクタイ、シャツ、ブラウスなどの柄や色)を意識して変えていますか?
- 業務中の服装は営業成績と関係があると思いますか?
を伺いました。
顧客や案件によって服装を変えているか、という質問では
- (どちらかと言えば)変えている割合と、(どちらかと言えば)変えていない割合がほぼ同程度
となり、結果が二分される形となりました。
服装と業績が関係あると思うかについては
- (どちらかと言えば)あると思う割合が46.5%、(どちらかと言えば)ないと思う割合が28.5%
という結果となり、関係があると思う割合が比較的高いことが見受けられます。
服装と業績の関係値を意識し、顧客や案件によって服装を変えている割合が一定数いるということが見受けられます。
では、営業職の服装への意識には、どのような背景があるのでしょうか?
服装と業績は関係があると思う、と回答いただいた方に実際のエピソードやそう思う理由を伺いました。
エピソード、理由
- 素材・化学メーカー(製造業)/ 40代男性
- プレゼンなどの時には赤系、じっくり話を聞きたいときは青系など、シチュエーションに応じて服装を変えたところ、実績に反映した気がする。
- 商社(卸売業)/ 50代男性
- 服装によって顧客の対応が異なった経験があり、それから服装を意識するようになった。
- 建設業 / 20代女性
- 営業成績の良い上司は、身なりにすごく気をつかっていたため。
- 小売業 / 40代男性
- 靴の話で盛り上がり、話しやすい雰囲気づくりができた。
- 食品・日用品メーカー(製造業)/ 30代女性
- 先方の営業パーソンでも身だしなみに気を配っている人の言葉は説得力があるように聞こえるし、自信があるように見える。
業務中の服装に関する調査(営業職・業界別)
営業職の業務中の服装や、服装と業績の関係などは、比較的割合や意見が割れる結果となりました。
次に、これらが業界ごとによって差異が出るかどうかを見ていきます。
業務中の服装を業界別に見てみると、
- スーツ(ジャケパン含む)の割合は建設業が77.8%と最も高く、次いで機械・電気・おもちゃメーカー(製造業)が69.3%
- オフィスカジュアル(ジャケット有無含む)の割合は人材サービス業が80.0%と最も高く、次いで金融業の60.0%
という結果となりました。
顧客や案件によって服装を変えているか、については
- 外食フードサービス業が(どちらかと言えば)変えている割合が93.3%と最も高い
- 次いで運輸・物流・郵便業が66.6%、不動産業とIT通信業が62.5%
という結果となりました。
服装と業績が関係あると思うかについては
- 外食フードサービス業が(どちらかと言えば)そう思う割合が80.0%と最も高く、不動産業が次いで62.5%
という結果となりました。
これら3つの結果から
- 業界ごとで業務中の服装や、服装への意識に差異あり
- 服装に気を遣っている割合が高い業界は、服装と業績の関係性について肯定的
ということが伺えます。
業務中の服装に関する調査(営業職・役職別)
最後に、役職ごとでの差異について、下記3つを比較していきます。
- 業務中の服装
- 顧客や案件によって服装を変えるか
- 業績と服装が関係あると思うか
業務中の服装の割合に関しては、
- スーツ(セットアップ)の割合は役職が変化するにつれ高くなっている
- 経営者・役員クラスではオフィスカジュアル(ジャケットなし)やカジュアルの割合が0%
という結果となりました。
また、顧客や案件によって服装を変えるか、業績と服装が関係あると思うかについても
- 役職が上がるに比例して肯定の割合が高くなっている
という結果が見受けられます。
これらの結果から、役職が上がるごとに
- 社内外ともに周囲から見られる・意識されることが多くなる
- 社外の方と会う際に、相手側の役職が高いケースも多くなる
という背景が伺えるのではないでしょうか。
今回は、営業職の服装について、全職種との比較や業界・役職ごとでの比較によって実態を見てきました。
全職種の中でも営業関連職が服装への意識が比較的高いことや、スーツの割合も高いことが見受けられました。
また、業界別・役職別の結果からは、社内外ともに関わりが増える方が、より服装への意識を高めていくことも伺えます。
営業職は、社内外で多く発生するコミュニケーションにおいて服装もひとつの武器とすることが出来るのではないでしょうか。
次回は、営業職の服装について、顧客からどう見えているのかを調査した結果を掲載する予定です。
営業総合研究所所長コメント
株式会社セレブリックス セールスカンパニー 執行役員
カンパニーCMO セレブリックス営業総合研究所 所長 兼 セールスエバンジェリスト
今井 晶也 (いまい まさや)
営業にとってスーツの存在意義が変わりつつあります。
スーツスタイルがビジネスパーソンの戦闘服として広く普及した当時とは、周辺環境が大きく異なります。
例えば温度ひとつとっても、日本の真夏は熱中症アラートやゲリラ豪雨などスーツを着て仕事をするのに躊躇する天候になってきています。 また仕事環境においても、インサイドセールスをはじめとする内勤営業に従事する人が増えたことも、スーツとの向き合い方が変化した要因のひとつです。
こうした状況から、「日本のスーツスタイルはこうあるべき」と決めつけるのは、いささか乱暴であり、業界や商文化によっても唯一解がないものと捉えるのが妥当でしょう。
しかしそのような中でも、営業職にとってスーツやオフィスカジュアルが「こうあって欲しい」と推奨できる解もあります。まず、スーツをはじめとする服装や身だしなみといった装い全般は、印象管理の戦術のためにあるものだということです。
あくまで、仕事のユニフォームとしてスーツやジャケットを身にまとっているわけですから、成果に繋がる装いを意識して欲しいと考えます。 正確には、成果をあげる弊害要因となる悪印象を防ぐ装いを意識することです。
また、「第1印象は2度と訪れないから第1印象と呼ぶ」ということも忘れてはいけません。 オシャレは個人の価値観ですが、身だしなみは相手の価値観の中に存在します。
身だしなみとは、お客様にとっての「されたい営業」や「理想の営業」に映るために努めようとすること、そういった思いやりの心が出発点にあるということです。
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