営業職が1番最初に読むべき生成AIの活用方法
本記事は、営業に関わる人が1番最初に読む生成AIの情報になればと思い執筆しました。
2023年は生成AI元年と言っていいほど、さまざまなビジネスシーンで生成AIの活用が注目されました。では営業活動および営業職ではどうだったかと言うと、SNS(X)で調査したところ次のような結果となりました。
引用:https://x.com/M_imai_CEREBRIX?s=20
結果はご覧の通り、2023年8月後半時点で「①しっかり使っている」方はわずか11%に留まるという結果となりました。
情報に敏感なX利用者でこの割合ですから、恐らく日本全国の営業職でみれば、もっと少なくなるでしょう。実際に質問の対象者を、大手企業を限定にした場合、地方在住者に限定した場合では、10%を下回る回答になることがほとんどです。(イベントや講演などでこの質問をよく聞いています)
このコラムでは、そもそも営業活動で生成AIは活用出来るのか、活用できるとしたらどのような方法があるのか考察を述べていきます。
【留意事項】
・本コラムは2023年12月15日に公開したものであり、その時の市況や生成AIのサービス展開状況を前提に記載しています。
・本コラムは特定の生成AIを推奨するものではありません。
・本コラムは営業活動における生成AIの活用について述べていますが、内容は基礎的なものを取り上げています。
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執筆者プロフィール | |
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執行役員 カンパニーCMO /セールスエバンジェリスト 株式会社セレブリックスのセールスエバンジェリストとして、法人営業に関する研究、執筆、基調講演等を全国で行う。2021年8月には “Sales is 科学的に「成果をコントロールする」営業術” を扶桑社より出版。営業本のベストセラーとして累計出版数が5万部を超える。 2022年7月には単著二作目として “お客様が教えてくれた「されたい」営業” を出版。現在は執行役員 CMOと新規事業開発の責任者を兼任。管掌するプロダクトとして営業コミュニティのYEALE、営業専門の人材紹介のSQiL Career Agent、日本最大級の営業エンターテイメントJapan Sales Collectionなどがある。 Everything DiSCの認定トレーナーであり、専門は営業、プレゼンテーション、コミュニケーションスタイルと多岐に渡る。 |
生成AIとは何か
生成AIについて、すでに内容を理解している方は本章は飛ばしてください。生成AIとは、ジェネレーティブAIとも呼ばれる人工知能の一種です。テキスト・音声・動画・画像・コードからさまざまなコンテンツを生成できるAIを指します。
従来のチャットボットのように、単調な質疑応答だけでなく、物語や作品・アイディアの提案に至るまで、クリエイティブな成果物を出力できるのが特徴です。生成AIの活用はビジネスシーンにおいて、業務効率化や壁打ち相手、アイディア創出など、幅広い活用シーンと多くのメリットが期待できる技術です。
私たちがビジネスシーンで触れることのできる生成AIは、以下のような場面で利用することが考えられます。
- 特定のコンテンツ(動画やテキスト等)を作成するために利用する
- 従来のSaaSやICTサービスに生成AIが実装された(組み込まれた)ものを利用する
前者の代表的なサービスは、2023年12月の段階で次の通りです。
ChatGPT(チャットジーピーティー)
ChatGPT(チャットジーピーティー)とは、ユーザーが入力した質問に対して、自然な対話形式でAIがテキスト等を生成するサービスで、世界中に生成AIのムーブメントを引き起こした立役者です。元々はテキスト系の生成AIを得意としていましたが、短期間でバージョンアップや進化をくり返し、2023年12月の段階ではイラストなどの画像も生成可能です。(DALL-E 3というアプリを利用)
公式サイト:https://chat.openai.com/
Microsoft 365 Copilot(コパイロット)
Microsoft 365 Copilot(コパイロット)とは、Excel、Word、PowerPoint、Teams、OutlookなどのMicrosoftの基本シリーズに生成AIが実装されたものです。
公式サイト: https://adoption.microsoft.com/ja-jp/copilot/
Bing(ビング)
Bing(ビング)とは、Microsoftが提供する検索エンジンです。ChatGPT-4が搭載され、無料でGPT-4の恩恵を受けられることから、ユーザー数が増えつつあります。
公式サイト: https://www.bing.com/?cc=jp
Google Bard(グーグルバード)
Google Bard(グーグルバード)は、Google版の生成AIです。日常的にGoogleで検索をする人は使いやすいインターフェースになっています。マルチモーダルでの高度な推論性能を備えた新たなAIモデル「Gemini Pro」が搭載され、生成物の精度は高まるとのことです。
※マルチモーダルとは:異なる種類の情報をまとめて学習するAIのことです。シングルモーダルでは「音声→テキスト」「テキスト→要約・翻訳」などひとつのものを出力しますが、マルチモーダルは複数の情報からより詳細な要素を精度高く判別します。
公式サイト: https://bard.google.com/?hl=ja
Adobe Firefly(アドビ ファイアフライ)
Adobe Firefly(アドビ ファイアフライ)は、PhotoshopやIllustratorなどのAdobe製品に組み込まれた形で提供される画像生成等に優れたAIサービスです。
公式サイト: https://www.adobe.com/jp/products/firefly.html
Midjourney(ミッドジャーニー)
Midjourney(ミッドジャーニー)は、コミュニケーションツールの「Discord」で利用できる画像生成AIです。テキストのやり取りから画像やイラスト等のクリエイティブを作成する人工知能プログラムです。
公式サイト: https://www.midjourney.com/explore
生成AIを活用すると営業にどんなメリットがあるのか
生成AIを有効に活用することで、営業は次のようなメリットを手にすることが可能です。
- 営業活動周辺における知識の向上
- 営業活動の効率化
- 営業活動の品質アップ
- 営業マネジメントの効率化
- 営業マネジメントの品質アップ
- 戦略や戦術をつくるための分析効率向上
- 再現性のある営業活動の推進
基本的には、営業活動における問題や課題に対して、生成AIを活用することで解決の方向を目指すことが可能です。しかし本章の冒頭にも挙げたように、あくまで「有効」活用できればであり、現段階においては、「誰が利用するか」によって受けられる恩恵は異なります。
具体例を挙げるとすれば、下記の5つです。
- 生成AIへの理解(得意なことと苦手なこと)
- 質問の精度
- プロンプトの理解、活用
- 生成AIが出す回答への前知識・予備知識
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生成AIが出す回答に対する追加ラリーの精度
実際に周りには「生成AIを活用しても知りたいことが知れない」と語る営業は多くいます。そうしたセールスパーソンは、1.2.3に対する知識と成功体験に乏しいことが散見されます。
さらに生成AIを使いこなすには、4.の「生成AIが出す回答への前知識・予備知識」が必ず必要です。基本知識がないのに生成AIを利用すると、生成AIが出した出力の、何が正解で何がウソ(間違っている)か分からないまま利用してしまいます。
これは非常に恐ろしいことで、嘘の情報を与えてしまうと一瞬で信用を失います。実際に私も、とある企業の中期経営計画に関する情報等を読み込ませた時に、書かれている実態と異なる要約が出てきて冷や汗をかきました。
このように、生成AIへの理解(得意なことと苦手なこと)を深め、健全な疑いを持って生成AIの強みを活かすことが重要です。
営業活動における生成AIの用途
営業活動およびその周辺の業務において、生成AIの活用場面は幅広くあります。ここからは、その中でも特に有効活用できる用途を4つにまとめて紹介します。
Ⅰ.調査
特定のプラグイン、ブラウジング、プロンプトを駆使することで、商談先の情報やターゲット層のマクロ的な調べものをしたり、分析できるようになります。
Ⅱ.準備
・プロンプトとブラウジングを活用し、商談企業や商談相手の情報を整理できます。
・トークスクリプトを作る際に、個社(個人)ごとに生成AIがカスタマイズしてくれます。それにより、オリジナルなFor you メッセージの素案をアウトプットすることが可能です。
・お客様がメディア等(採用ページ、記事やコラム等)でよく話す言葉などの情報をピックアップし、仮説構築や雑談のネタ集めに役立ちます。
・メール、DM、手紙の文章やスクリプトの素案などを用意できます。
Ⅲ.相談
・自分の悩みや壁打ち相手役などに生成AIを活用し、問題特定/課題設定といったセルフマネジメントに活かせます。
・商談先の業界や商品の勉強に活用可能です。
・最近のホットトピックスや話題のテーマに対して情報収集したり、AIにテストを出してもらって理解を深めます。
・自社の商品理解/顧客理解/競合理解なども、AIの質問を通して理解を深めます。
・商談や提案のシミュレーション相手、ロールプレイングのお客様役として活用できます。
Ⅳ.整理
・商談の対話内容や文字起こしした内容を議事録としてまとめられます。
・議事録等の要約から、ネクストアクションの設定やお礼メール等のコンテンツ作成を指示できます。
・商談議事録などを要約し、提案書(企画書)の骨子を考えたり、タイトルや脚本を考えて貰えます。
・自分が作成した文書の、誤字脱字チェックや正しくわかりやすい文書へのリライトを指示できます。
大きく分けると、このような4つの用途で利用できますが、考え方としては「あなただけの営業アシスタントがついてくれる」というイメージが近いかもしれません。また、自分だけの営業企画部が持てるようになると解釈を膨らませてみれば、生成AIを使い倒せれば、営業生産性が高まる未来を描くことができるかもしれません。
まとめ
今回は営業マネージャーや営業パーソンが最初に読むべき生成AIのメリットや活用場面をご紹介しました。私自身、そして弊社の生成AI活用チームは、人がやらなくても済む仕事を生成AIに委ねることで効率を高め、純粋な営業活動や、受注確度にインパクトのある取り組みへの集中時間を増やせています。
ぜひ本記事をお読みの皆様も生成AIの活用にチャレンジし、実証実験を通して精度を高めてみてください。営業組織における生成AIの活用でお困りのことがあれば、いつでもご相談ください。セミナー、研修、アドバイザリー、代行、コンサルティング等各種扱っております。
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