eラーニングの導入・運用を成功させる5つのポイント
内定者の教育や新入社員の研修プログラムを考案する今日この頃、 eラーニングで教育研修を検討される企業も多いのではないでしょうか?
その歴史を振り返ると、一般的にeラーニング元年と言われるのは2000年。 順調に市場を伸ばしてきたわけですが、企業研修の実態としては、導入はしてみたものの、「利用しない」「継続的な受講を推進できない」といった、運用や利用の問題が顕著になりました。 しかし、スマートフォンやタブレット端末の普及、そしてその躍進に引っ張られる形で、個人ユーザーがスマートデバイスを活用し、アプリ等で学習する習慣が根付いてきたのです。 こうした環境の変化から、改めて企業教育にeラーニングを導入、新たに作り直す企業が、今非常に増えています。
本来eラーニングは、正しく利用され、継続的な学習とそれを促す適切な運用がなされれば、非常に有効な教育ツール なのです。 このコラムでは、法人利用のeラーニングの導入・運用で失敗しない5つのポイントをご紹介していきます。
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目次[非表示]
ポイント①:トレーニングの体系化
eラーニングの受講・学習により、目指すべき成果や目標を明確に定義しましょう。 また、受講者の階層、職種等の属性毎に要求されるトレーニングプランを設計します。 例えば営業教育で言えば、マネージャーには営業マネジメントの要件と必要なスキルを明確に定め、必要な教育メニューを打ちだします。 一方で営業パーソンには、営業プロセス毎に必要なhow toやスキルを体系化する…といったように、対象毎に『要件』『要件を充たすトレーニング』を設計しましょう。 この設計が正しくなされていないと、そもそも教育の目的と実行している学習の方向性がずれてしまいます。
ポイント②:必要なコンテンツを網羅
ポイント①で解説した目的とトレーニングメニューに沿った教育コンテンツ(動画やテキスト、テストなど)を用意しましょう。 最適なコンテンツであれば、事業者が提供するカリキュラムでも良し、自社で製作しても構いません。
重要なことは、ユーザーにとって必要な情報や学習コンテンツが網羅されているか?ということです。 ユーザーの関心や、ニーズを満たすコンテンツかどうかは、そのままアクセス数や受講率に現れます。 必要なタイミングで必要な知識を習得出来ないと判断されれば、積極的な受講は期待できません。 受動的に受講していても、スキルは定着せず、一時的な理解で終わってしまい、現場で活かせるスキルとして定着しません。
ただし、全てのコンテンツを自社製作しようとすると、お金も時間も莫大に発生してしまいます。 最近はeラーニングのプラットフォームを提供する企業(載せるコンテンツは自由に選べる)や、一部コンテンツを提供している事業者もあります。
- 汎用性のある教育メニュー(ビジネスマナーや技能スキル)は調達
- 情報の更新頻度が高いものや、都度追加するコンテンツ(例えば商品情報など)はセミナーや研修動画を撮影し放映
- 自社特有の普遍の原理や原則等は、しっかりと動画を作り込む(営業ロールプレイング動画や企業動画等)
上記のようにトレーニングメニューによって、コンテンツの用意の仕方を分ければ良いでしょう。 もちろん動画だけでなく、テキスト(資料)やテストを用意することも重要です。
ポイント③:教育内容の一貫性
eラーニングで学ぶ教育は、営業にしかり、他のトレーニングでもリアルの教育と統一感を持たせる事が重要です。 最近ではオンラインと集合研修をミックスさせた反転学習のスタイルを取り入れた教育研修が法人でも注目されています。
※オンラインで学習し、オフラインで体験、経験等のアウトプットを実施する、成果が上がりやすいと言われている研修プログラム 同様に、日々のマネジメントやリアルでの対面研修で学ぶ・教育される内容とeラーニングで学ぶことが異なると、受講者は迷ってしまいます。 ポイント①②とも重なる内容ですが、改めて教育研修のプログラムがリアルとオンラインで統一されているか、確認する必要があるのです。
ポイント④:受講者がアクティブに利用する仕掛けと運用
今回のポイントで最も難しいテーマです。 しかし、この運用の仕組みが、eラーニング導入の成功を左右するポイントと言っても過言ではありません。 運用をアクティブにするための仕掛けは幾つかあります。
- プラットフォームのユーザービリティ
- ユーザーがアクティブに訪れる、情報発信の仕掛け
- 受講コンテンツの期限設定と受講促進
- コンテストや表彰などのイベント性
上記が挙げられます。
①は、プラットフォームの仕様とトレーニングメニューの設計にも影響しますが、ユーザーが知りたい情報、学習コンテンツに直ぐに辿り着けるか?というアクセスの動線と、収録するコンテンツの時間がポイントになります。
例えば営業パーソンが移動中に、営業プロセスのプレゼンテーションのポイントを学習したかったとします。しかし、動画が営業プロセス毎に分かれて収録されていなければ、長い動画の中からそのポイントだけ探す…というのは手間に感じて、見る気は起きませんよね。ユーザーの勤務スタイルやライフスタイルに合わせて動画の長さなども考慮する必要があります。
②には運用担当者を立てて、トライ&エラーを繰り返しながら精度を高める必要があります。 弊社の成功事例では、競合情報や商品、自社のリリース情報をプッシュでユーザーに配信し、関連する教育動画のリンクを貼り、ユーザーのアクセス率や受講率を高めたという事例があります。 一度受講した動画を必要なタイミングで受講させる仕掛けを施すことで、現場での定着率が高まります。
③はユーザーに受講を任せきりにしないという運用です。 期限をつけてテストを受講させたり、視聴を促すなどの、積極的な推進を図りましょう。 ④イベント性を持たせることでユーザーのモチベーションを高めましょう。 受講理由を強制的な要素だけではなく、ユーザーの主体性を働きかけるような動機を設定します。
ポイント⑤:解析と改善
ポイントの5つ目は解析と改善です。 eラーニングのコンテンツを充実させ、様々な利用促進の仕組みを作っても、コンテンツや施策によって、アクセス数や受講数、そして受講によって現れる成果の差は出てしまうものです。 重要なことは、下記の項目をしっかりとモニタリングし、運用やコンテンツ、そして教育方法の改善を図り、その成果を高めていく取り組みです。
- ユーザー(受講者)の全体のアクセス数や月毎の利用ログ
- コンテンツによって受講率(アクセス数)の差がないかどうか
- 利用促進や受講者への利用を促す施策ごとのアクセス数の伸び率
- アンケートの実施による、受講者のニーズに合ったコンテンツの調査
- リアルの教育や、OJTや現場で学んだことが活かされているかどうか
「トレーナー」「上司」「本人」のそれぞれのアセスメント(査定)によるサーベイ調査 上記の観点で効果検証を行い続け、運用や教材の在り方を改善して行きましょう。 そして、その対策も定量的に効果検証を図り、対策が問題解決になったかどうか、常に運用のブラッシュアップを図ることが重要です。
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まとめ
ユーザーがオンラインで学習することに慣れている今、eラーニングによる法人教育は以前よりも、受講環境含め格段に利便性を増しています。 運営側として重要なことはポイントで触れさせていただいたように、 トレーニングメニューを体系化し→必要かコンテンツを整え→対面・リアル研修やマネジメントとの統一感を持たせ→運用で受講促進を働きかけ→解析を行い改善活動を行う… このプロセスが重要です。 eラーニングを作って終わり…ということは決してありません。 企業教育におけるeラーニングの活用が本コラムを通じ少しでも改善されれば幸いです。