テレワーク購買モデル大研究〈セッション2(後編): 営業活動のリモートスタート!二極化するテレワーク時代で成果を出す営業組織とは?〉
2020年5月「テレワーク 購買モデル大研究」と題したイベントをオンラインで開催しました。アフターコロナの営業活動については様々な予想がされていますが、実際に国内外の傾向や消費動向はどうなっていくのでしょうか。
セッション2では、人材活用プラットフォーム「HRMOS(ハーモス)」を提供する株式会社ビズリーチ 茂野明彦氏、オンライン商談システム「ベルフェイス」を提供するベルフェイス株式会社 西山直樹氏、BtoBマーケティング支援サービスを提供するコニカミノルタジャパン株式会社 富家翔平氏の3名が、営業支援会社セレブリックスの今井をファシリテーターとし、リモートの営業で成果が二極化する時代の中で、成果を出す営業組織や営業パーソン一人ひとりの行動についてお話しいただきました。
Q&Aでは、セッション中にお答えできなかった質問の回答を掲載しています。
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本記事とあわせて、営業力を高めるための新規開拓チェックリストをぜひご活用ください。新規開拓で生産性を向上させ、成果を高めるためのチェックリストです。営業パーソンや営業組織が持つべき基本的なスタンス、起こすべき行動から、実際の営業活動で実施すべき項目までまとめています。
目次[非表示]
1. 営業パーソンのやれること
今井
この環境だからこそ、営業パーソン一人ひとりにはどんなことができるでしょうか。皆さん自身が営業パーソンならどうやって乗り越えていくか、自分だったら何をするか、といったところをお話いただきたいと思います。まずは西山さん、いかがですか?
西山
今ある顧客の中で広がる余地のある領域にとにかく入り込んで、深く耕していくことを最優先します。その上で、僕だったらコンテンツ作りはマーケティングチームに依頼せず自分でやりますね。マーケティングチームはマーケティングチームの仕事が優先だと思うので、まずは自分で成果を上げてコンテンツにしてしまって、そのコンテンツを使って自分でウェビナーを開催して、リードを集めて営業すると思います。
今井
富家さんはどうですか?
富家
僕が実際に現場で取り組んでいる真っ最中なのは、オンライン商談用の営業トークや資料の作成です。オンラインだと、相手の表情が見えない瞬間もありますし、話を振るタイミングが今までと全然違うと感じています。なので、資料のデザインを変えたり、事前に先方に資料を送っておいて概要を確認しておいてもらったり、細かいチューニングをすることによって、今の状況に自分の営業スタイルを合わせるようにしています。
今井
今の状況を優位にするために、細かなチューニングといったところにテコ入れしていくということですね。僕も、1スライド1メッセージの主張を強めにしたり、目次を多様したり、事前にアンケートを送って相手がどういう質問をされるのかを準備しておいてたりして、オンライン商談では工夫をしています。茂野さんはいかがですか?
茂野
僕も自分自身でマーケティングをしていくことだと思います。
最近、「正直なマーケティング」という言葉をよく使っています。興味のあるものを発信し続ければ誰かがきっと見てくれるし、見てもらえるように工夫をすれば良いので、その手段と可能性は大いに活用します。
営業ですと、お客様との会話一つひとつや提案書もコンテンツです。工夫しながら発信する方法は沢山あると思っています。
今井
営業パーソンがコンテンツを作って、営業マンがマーケターになっていくというのは、非常に重要そうですね。
茂野
そうですね。ただ、コンテンツをとにかく乱発することは避けた方が良いですね。
今井
量産に集中しすぎて人のものを真似したジャンクなコンテンツではなく、リアルな響きや体験をコンテンツ化していくことが大事ですよね。
2. 対面商談の価値は変化してくのか
今井
「withコロナ・afterコロナにおける対面の価値はどう変化していくのでしょうか?そもそも対面は無くなるのか、無くならないのとかといった観点も含め、皆さんの見解を教えていただきたいです」
西山
対面の価値は格段に上がると思います。無くなることはまずないですが、それだけ希少性が上がり、頻度が減るということですね。では、訪問する時はどんな時かというと、「決める時」です。受注を決める時や、決裁者が登場する時、あるいは無形商材を扱っていて最初の段階で課題を深く掘り下げないといけない時などです。とにかく、対面で会う時や訪問する時は特別な意味を持つことになるので、価値は上がると考えています。
今井
同時に、その希少価値に応じたスキルが必要になりますよね。それぞれの専門に特化した能力や技術が、より必要になっていく時代が来るかもしれないですね。
西山
当然、afterコロナにおいてフィールドセールスを専門にする人も出てきて、絶対に決めてくれるとか、課題を深く掘り下げられるとか、ものすごく高いスキルを持っている人になるので、その人自身の価値も上がりますよね。
茂野
僕も、オンラインでできることはオフラインに戻らないと思います。ただ、現状のオンライン商談やオンライン会議は、複数人で同時にコミュニケーションを取ったりディスカッションしたりすることはまだ難しい。オフラインは複数人が集まる時の選択肢になり、1対1のコミュニケーションはほぼオンラインにシフトするのではないでしょうか。
富家
僕らはまさにメーカー側なので、製品を生で見てもらうためにショールームに足を運んでもらう場面など、本当に対面でしか提供できない価値だけが対面には残るのかなと思います。
今井
これからは営業体験の中で、対面でどのようにお客様の気持ちを変化させるのか、といったジャーニーを描いていくんでしょうね。
富家
展示会の目的も、マーケ側に聞くとリードを獲得するためですが、営業側にとってはこういうタイミングだからこそ普段以上に商材の紹介をしたいという声は確実にあります。ただ、複数の商材がある中で一つひとつオンライン商談するのはなかなか難しいので、今後は一つの場でお客様といろいろなことを話せる機会として、オフラインが残るのではと思います。
3. 顧客から信頼されるコンテンツとは
今井
次の質問ですが、「コンテンツ作りや情報提供が大事というお話がありましたが、信じられる情報とはどんな情報ですか?」
富家
信じられる情報は、僕らで言うと自社で体感したことや知っていることですね。コニカミノルタのコンセプトは、自社で行なっているものをノウハウとして提供することなので、お客様に提案したいものは率先して自分たちで取り入れて使ってみて、使ってみた結果や良し悪しも踏まえて提案しています。
茂野
明確にSNSとコミュニティからの情報だと思っていて、口コミのような第三者情報が重要なコミュニティマーケティングはもっと加速すると思います。発信する側も今後はSNSやコミュニティで影響力を持つことが大事だと思います。
今井
最後の質問です。「新規営業と既存顧客のどちらに力を入れるべきですか?また、既存顧客との信頼関係の深さを測る指標は何かありますか?」
茂野
新規か既存どちらかではないですね。既存顧客のフォローなくして新規の営業はないと思います。
また、既存顧客との信頼関係の深さを測る指標として、CSQL(カスタマーサクセスクオリファイドリード)というものがあります。リファラルリードの数やリファラルリードを生み出してくれる顧客の率がCSQLに当てはまります。NPS(ネットプロモータースコア)の最上指標は「人に紹介したい」なので、わかりやすい指標だと思います。他にも、送ったメールが届いた数や開封率、オプトアウトされていないかといった観点も、コミュニケーション上の信頼関係を測る数値としては正しいと思います。
今井
顧客から顧客を紹介してもらうということは重要な指標ですよね。
最後に皆様から、この激動の中で活躍している方々に向けて一言メッセージをいただければと思います。
西山
僕は2007年に新卒入社して、2008年のリーマンショックを経験しているんですが、その中で売りまくっている同期がいて、僕は彼に全く歯が立たなかったんです。なんでそんなに売れるのか彼に聞いたら、「蟻にとって台風は関係ない」と言われました。
要するに、大きな世界で起きていることも小さな蟻には関係なく、台風だろうと彼らはご飯を運んで生きているということです。営業も一緒で、一営業にとっては世界の不況なんて関係なく、言い訳に過ぎないんです。実際に周りを見ても、売れる人はどんなに不況でもずっと売れています。逃げずにできる方法を考えて、不況だからこそ狙えるマーケットを見つけて、顧客に深く入り込んで信頼を勝ち取って成果を上げていくんですよね。
経営視点で見ても、こういう営業は間違いなく重宝されますし、不況を乗り越えて景気が回復していったときにマーケットの中心にいるわけですよ。そうなるためにも、この状況は逆にチャンスだと考えるべきです。今日お話ししたことを一つひとつ実践していった先に新たな未来が待っていると思うので、その未来を一緒に掴みに行きましょう。
富家
皆さんには、勇気をもって新しいことにチャレンジしてほしいと伝えたいです。何事においても最初は初心者で、周囲の人に助けてもらいながら実現するわけですよね。「やってみよう」と宣言して実行してみればいろんな人が助けてくれるので、こんな状況だからこそ、今まで取り組めなかったことに果敢にチャレンジしてほしいなと思います。
茂野
正直にマーケティングをしてほしいと思います。「僕は、ハーモスを活用頂くことで、世の中の採用や人材活用のあり方を変えたいと思っているので、ハーモスを育てるきっかけをください」とお伝えします。皆さんも正直に伝えた方がお客様に届きます。正直に向き合って堂々とマーケティングしましょう。
今井
ありがとうございます。皆さん一人ひとりができることに全力で向き合って、よりポジティブに営業活動を行なっていただければと思います。
4. Q&A
Q. オンライン商談もできずに対面でも会えないレガシー産業での営業手法が知りたいです!
A. 手段という意味では電話やメールが主になりますが、「なにを目的に」「なにを伝えて」「顧客にどういったアクションをしてほしいのか」を明確にしたうえで、営業活動を行っていくことが重要だと思います。なので、手段は状況に合わせて変える必要がありますが、営業活動の根幹は変わっていないのではないでしょうか。(コニカミノルタジャパン株式会社)
Q. コロナ禍において営業の目標設定に変化はありますでしょうか?
A短期的な設定については実際に見直している動きはあります。一方で、受注を取ることを営業の目標とするならマイルストーンやその進め方、スケジュールは状況にあわせて変える必要はあるものの、目標設定自体に大きな変化はないです。(コニカミノルタジャパン株式会社)
Q. いま新規事業をスタートするとしたら、どのような営業活動を行いますか?
Aまずは徹底的に現場に足を運ぶ(オンライン商談)を行って、顧客の生の声を聴きます。
単純なリサーチではなく、ダイレクトに「売りにいく」ことで、顧客の真の買わない理由や、買いたいと思う理由を掌握することができます。これ等の情報をもとにターゲットの優先順位を決めたり、ターゲット毎の商談ストーリーを描くことに注力します。(株式会社セレブリックス)
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本イベントの登壇企業
・人材活用プラットフォーム「HRMOS(ハーモス)」を提供する株式会社ビズリーチ
・オンライン商談システム「ベルフェイス」を提供するベルフェイス株式会社
・BtoBマーケティング支援サービスを提供するコニカミノルタジャパン株式会社
・B2B営業代行業界最大手株式会社セレブリックス