効果的なCX(カスタマーエクスペリエンス)を実現する、キックオフで聞くべきヒアリング項目とは?
前回のコラムで顧客のCX(カスタマーエクスペリエンス)を高めていくにはキックオフ、オンボーディングが大切である、とお伝えしました。
本コラムでは、サービスを開始した後にキックオフで顧客とすり合わせるべきこと、握るべきことの具体例について触れていきたいと思います。
目次[非表示]
- 1.キックオフで確認すべき5つの項目
- 1.1.導入目的の確認について
- 1.2.実務担当者としてのミッションのヒアリングについて
- 1.3.会社としてのミッションのヒアリングについて
- 1.4.利用パターン、想定パターンの把握
- 1.5.利用担当者の整理
- 2.まとめ
キックオフで確認すべき5つの項目
導入目的の確認について
最初に行うべきことは、導入目的の確認とそのすり合わせです。
カスタマーサクセスの仕事において最重要である導入目的の確認とすり合わせは、顧客の成果(CO)にコミットする指標を整理するだけでなく、体験(CS)を高めるためのプロセスも調整することがカギとなってきます。具体的にヒアリングすべきことは下記の通りです。
- そもそもなぜこのサービスを導入しようと思ったのか?
- 導入して目指したいことは何か?
- これが実現されるとどうなるのか?
このようにヒアリングで解像度を上げていくことで、サービスを導入したお客様の本当に目指したい姿をイメージしやすくなります。
導入目的の確認を行っているカスタマーサクセスマネージャーは多いと思いますが、なぜ入れたのかだけで終着してしまうケースが散見されます。
より深くヒアリングしていくことで、カスタマーサクセスマネージャー側だけでなく、お客様自身も導入した本当の目的に気付かされるということもあります。
実務担当者としてのミッションのヒアリングについて
次に行うべきことはお客様の「実務担当者としてのミッション」の確認です。
どのサービスも実務で利用する担当者がいますが、その担当者が使ってくれなくて解約されてしまう、というケースが良くあります。そういった事態にならないよう、下記の内容を確認しましょう。
- 担当者がサービスに触れる機会はいつなのか?
- どのくらいの時間をかけることができるのか?
- 他に業務を兼任しているのか?
- 上記であればどんな業務をおこなっているのか?
- サービスを使いこなせた先に、担当者としてのメリットは何になるのか?
実務担当者のミッションをヒアリングすることによって、カスタマーサクセスマネージャー側が「実務担当者のやるべきこと」を正確に理解できます。正確に理解することで、実務担当者の動きやサービス利用の先が見えてくるので、ヒアリングの頻度やアップセル/クロスセルのタイミングが計りやすくなるのです。
さらに、実務担当者側から見たときに、サービスを使いこなすと社内で評価されるというメリットがあるとしたら、使いこなしてほしいカスタマーサクセス側と使いこなしたい実務担当者側、双方WIN-WINの状態を作り出せるので、この実務担当者へのヒアリングは丁寧に行いましょう。
会社としてのミッションのヒアリングについて
3番目に、会社としてのミッションを確認しましょう。ヒアリングの目的は、決裁者にサービスの活用重要度を認識させることです。
例えば、「サービスを活用することで実務担当者の業務が10分の1になる」という未来を決裁者と共有できれば、「会社としてサービス活用を推進していく必要がある」という認識を持たせることができます。
そうすることで、サービスを有効活用することが評価基準になったり、実務担当者がきちんと評価されたりと、サービスを使い続けてくれる可能性が高くなるのです。
利用パターン、想定パターンの把握
次に想定利用パターンの確認です。ここヒアリングした内容は、将来的なアップセル・クロスセルのネタとして活用できます。具体的には下記の情報を確認しましょう。
- いつまでにセットアップ(使えている状態)を完了しているようにするか?
- 具体的な活用(自走)をいつまでにできる状態を目指すか?
- 半年後、1年後にはどういう領域まで拡大するか、新しい機能を使いこなしていく想定か?
聞き方のポイントとして、ただ質問するだけではなく、仮説を持っていくと相手が答えやすくなります。
例を出すと以下のような聞き方です。
「〇月までにセットアップが完了していると良さそうですが相違ないですか?」
「こういうケースでの利用方法もあるかと思うのですが○○さん的には利用想定はありますか?」
この仮説を立てるためにも、前述の導入目的や実務担当者のミッション、会社のミッションをしっかりヒアリングし、整理しておくことが重要です。
利用担当者の整理
最後に、サービス活用における関係者を整理しましょう。利用担当者だけではなく、その上長や推進者、決裁者もしっかりと把握し巻き込むことが目的です。
大前提、実務担当者はサービス利用に対する熱意が徐々に下がっていきます。そうなった際に、実務担当者以外に活用を推進してくれる人や推進したい決裁者がいれば、実務担当者に対して活用を促してくれるのです。
例えば、サービス導入の決裁者は、費用をかけて導入したサービスを「使っていませんでした」という事実は作りたくないはずです。事前に巻き込んでおくことで、お客様社内における強い推進担当になってくれるでしょう。
まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
今回はキックオフ時に顧客とすり合わせ、握るべきポイントについての詳細について共有いたしました!ここまでのおさらいです。
- 効果的なカスタマーエクスペリエンス(CX)の実現をするためには、以下の内容確認が重要
✓導入目的
✓会社、担当者個人としてのミッション
✓将来的な活用イメージ
✓決裁者の確認 - 上記の確認を最初に行っておくことで、活用促進フェーズでの会話のきっかけが作れるため、話題に困ることがなくなる。
キックオフでの戦略的なヒアリングにより、カスタマーエクスペリエンス(CX)も向上し、結果的に顧客のLTV向上につながる施策の一つとしてご参考になりますと幸いです。