※「営業総合研究所」 「インテリジェントセールス」 「インテリジェントセールスプロセス」は、株式会社セレブリックスの商標又は登録商標です。

インサイドセールスとフィールドセールス、共に勝つための営業バディの在り方

BtoBセールスには、インサイドセールスとフィールドセールスという役割があります。成功のためにはその二つがまるで鏡のようにお互いの役割や気持ちを理解し、連携することが大切です。

営業プロセスを分業・専業するケースにおいて「一人では成立しない」ことが多々あり、お互いの気持ちや意図、さらには顧客への思いを理解することで、初めて顧客との信頼関係を築くことができます。

では、なぜお互いの気持ちを理解する必要があるのでしょうか。
それは、インサイドセールスがアポイントを取得してきた「入り口」から、フィールドセールスが直接会って「出口」へ導くまでのプロセスにおいて、一貫した顧客体験が求められるからです。

もし顧客がインサイドセールスに対して感じた期待を、フィールドセールスが受け継げなければ、顧客は混乱し、信頼は揺らいでしまいます。反対に、顧客が抱える本音やニーズをフィールドセールスが深く理解し、インサイドセールスに共有することで、次のアプローチがより的確に、効果的に行えるようになります。双方の目標や役割がある中で、購買体験を軸に互いの活動を近づけていくアプローチが重要なのです。


インサイドセールスへの期待

もし私がフィールドセールス担当だとしたら、バディを組むインサイドセールスには以下4つのような対応を期待します。


新規営業において、ご挨拶アポをやめる

新規顧客開拓営業において「ご挨拶に伺います」といった軽い言い回しは避けてほしいと思います。なぜなら、顧客にとっての60分は貴重な時間であり、その時間が「聞き流し」ではなく、しっかりと課題解決の場となるように準備したいからです。私たちが目指すのは、アポイントメントの数だけではなく、そこから顧客の真のニーズや悩みを引き出す質の高いコミュニケーションです。 ※既存顧客の場合、既存顧客の新部門営業の場合はこれに限らない。


BANTを聞くのではなく創る

インサイドセールスが必ずしもBANT(予算、決裁権、ニーズ、タイミング)を厳密に聞き取る必要はないと感じています。なぜなら、顧客自体も現時点で曖昧な理解で答えてしまうことが多いため、余計な制約は設けず、フラットに商談をした方が面白い案件を自由に創り出せるからです。

BANTは聞くものではなく、作り上げるものです。フィールドセールスが顧客との会話を通じて、自然にニーズを引き出していくことが大切だと思っています。

一方で商談のアジェンダを顧客に伝える取り組みは歓迎したいと思います。なぜなら、顧客が商談に向けて、周辺情報を調べたり準備をして臨んでもらえるからです。これによって営業側のヒアリングに対する顧客の回答にリアリティが増します。コンサルティングセールスは、顧客の客観的事実に対して提案が求められるため、顧客側の商談準備は効果的と言えるでしょう。


些細なボトルネックに目を向ける

インサイドセールスが顧客とコミュニケーションをとる中で、「これを言われると進まない」という、難しいと感じる場面や、相手からの厳しい一言があれば、それをぜひフィードバックしてもらいたいと思います。なぜなら、他のお客様の声をシェアすることで、異なる視点からの打開策が見つかることがあるからです。営業の現場での知見を共有することが、互いの成長に繋がるのです。


質と量の二兎を追う

質と量、そのどちらが大事かという議論は不毛だと思っています。質を高めつつ数も追うためには、互いに工夫しながら行動することが必要なのです。

インサイドセールスとフィールドセールスが一緒に考え、成果を共有することで、お互いの仕事の意義が明確になり、信頼関係が強まります。同席してリアルな顧客の反応を感じることも、インサイドセールスにとって大きな学びになるはずです。個々のアポイントメントを通じて、顧客一人ひとりに真摯に向き合うことを期待しています。


フィールドセールスへの期待

逆に、もし私がインサイドセールスだとして、バディを組むフィールドセールスにどのような期待をするか考えてみました。


定期的なフィードバック

顧客との商談フィードバックを定期的に求めたいと思います。なぜなら、顧客の生の声やリアルな反応を知ることで、次のアポイントメントの質をさらに向上させることだできるからです。時には商談録画を見せて欲しいと思います。フィールドセールスの生の現場のやり取りを知ることは、インサイドセールスにとって貴重な情報なのです。


関係を築いた顧客へのインタビュー機会

フィールドセールスが深く関係を築いた顧客を紹介してもらいインタビューを設けることで、顧客のサービス活用方法や解決したい課題をより深く理解することができます。理解した内容を導入事例ストーリーとして語れるようになれば、同じような課題を抱えている購買意欲が低いお客様に、課題解決のための役立つ情報として伝えられます。

語れるストーリーを増やすことで、伝えられることは増えていきます。最初は購買意欲が低かったとしても、要所要所で課題に対するクリティカルな情報を伝えることで、関係性が深まり将来的な案件に繋げることができるのです。


顧客フォローアップの分担

決断を急かさない顧客との関係を丁寧に保つことも、インサイドセールスの役割の一つです。
もしフィールドセールスのフォローが難しい場合は、一旦その顧客を再度引き取らせてもらえないか、提案させてもらえると嬉しいです。その顧客が購買意欲を持つ瞬間を逃さずキャッチするため、適宜状況を確認し、役立つ情報を提供したいからです。

バディを組む以上、目指すのはベストタイミング、ベストアプローチ、ベストリレーションを築き、購買体験を高めることです。フィールドセールスが顧客リストの保有に固執して、フォローアップがおざなりになることは避けたいと思っています。あくまでリストは会社の資産であり、必要に応じてチームでフォローアップしていきたいと思います。


営業力で失注することをできる限り減らしてほしい

こと、購買意欲が高くない顧客において、インサイドセールスが期待を醸成してアポイントになったとしても、フィールドセールスの営業力不足でその期待感を裏切ってしまうと、あっさり失注につながってしまいます。そのため、商談前後のレビューやロープレは、上司としっかり行うことを要望したいです。

インサイドセールスが「無限のアポイント生成マシン」ではない以上、より価値のある顧客体験を提供するために、双方がより深く連携し、適切なタイミングで知見を共有することが重要なのです。


まとめ

インサイドセールスとフィールドセールスは、バディとしてお互いの役割を尊重しつつ、顧客に一貫した体験を提供することが求められます。お互いの立場に立って考え、実際の顧客の反応や悩みを共有しながら、双方の役割を活かすことが上手くいく秘訣なのです。
そうすることで、初めて質と数のバランスを保ちつつ、真の顧客価値を提供できるのではないかと思います。営業はチームで勝つものであり、チームが一体となり、お互いの成長をサポートすることで、顧客との信頼関係も深まっていくのです。



著者:今井 晶也 (いまい まさや)


株式会社セレブリックス セールスカンパニー
執行役員 カンパニーCMO
セレブリックス営業総合研究所 所長
兼 セールスエバンジェリスト



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