部下の成長を左右する、ティーチングとコーチングの違いとは
社員の能力を会社の戦力として高めていくためには、社員研修などによる教育が必要不可欠になります。しかし、いざ研修となると、どのように教えればいいのか悩んでしまう方も少なくないと思います。事実、弊社にも「教育」に関するご相談が良く届きます。
また、優秀な営業パーソンが教育する立場になった際、思っているほど成果が出せず苦悩されているケースも多いようです。教育には「ティーチング」と「コーチング」という2つの手法が存在します。選ぶ手法によって得られる効果が異なり、両方を組み合わせて活用する場面も少なくありません。
このコラムではティーチングとコーチングの概要から、活用事例までをご紹介いたします。
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ティーチングとコーチング、それぞれの意味とは
そもそもティーチング・コーチングという言葉には、それぞれどういう意味があるのでしょうか。
ティーチング
ティーチングとは「ティーチャー(teacher)」という言葉からきており、講師側が生徒側に答えを教えることで成り立つ指導方法です。経験や知識が少ない相手に対して、必要な情報や技術を具体的に教えるということです。例えば、学校で行われる一般的な授業は、答えを持っている先生が知識や経験の少ない生徒に答えを教える「ティーチング」です。
会社の部下と上司の関係で言えば、部下の質問に対して上司がロジカルな答えを与えることで、問題解決の方法をいち早く理解することができます。またこれは自社とクライアントの関係でも成立する指導方法で、自社の商品やサービスを組み合わせた課題解決の方法を提案するのも一種のティーチングです。
ただ答えを与えるだけではティーチングの効果は発揮されません。いくつかのポイントを意識するだけで、ティーチングの効果を最大限に活かすことができます。
★ティーチングの効果を最大限に高めるコツ
- WHY(なぜやるか)
- WHAT(何をやるか)
- HOW(どうやるのか)
与える答えはロジカルに、理由・方法・手段を分かりやすく伝えることが大切です。伝えたあとに相手がしっかりと理解できているか、また与えた答えが正しく伝わっているかの確認(フィードバック)をするとより効果が期待できます。
社員研修などで社員に対してルールやマナーを教えるとき、実際にロールプレイングをやりながら指摘を行うことは、改善効果が期待できる方法のひとつです。
コーチング
ティーチングが答えを与える指導法であるのに対して、コーチングは自身に答えを考えさせる指導法になります。しかし、部下からの質問に対して「自分で考えろ!」と頭ごなしに言っても上手くはいきません。コーチングを行う際には、部下が自発的に質問し、答えを導き出せるようにサポートする必要があります。
そのためには、下記のポイントを意識することが大切です。
★コーチングをする際の重要なポイント
- 何をどう考えているのか、部下の意見をしっかり傾聴する
- 部下の意見に対して、疑問や質問を投げかける
- 成果を認め、しっかりと褒める
更に、コーチングでは下記の【傾聴・質問・承認】を徹底することが、何より重要なポイントになります。それぞれの意味ついて、詳しくご説明いたします。
傾聴
現段階で部下はどのように考え、どんな意見を持っているのか最後まで注意深く聴きましょう。
途中で意見や否定を挟んではいけません。最後までじっくりと話を聴き、部下に「自分の話を聴いてもらえる」という安心感を与えることが大切です。
質問
コーチングで行う質問は、部下の意見に対して答えを求めるものではありません。部下の意見に対して、別視点の質問を投げかけて部下本人に考えさせることで、自発的な答えと行動を促す効果が期待できます。
<活用例>
部下:私はこの問題に対してAという方法がいいと思います。
上司:それも1つの方法だね。私からの提案なんだが、AをBとして考えたらどうかな?
部下:AをBとして・・・あ、それならCの方法が使えます!
承認
相手の存在を認めて、しっかりと褒めるのもコーチングの一環です。成果に対する圧力を与えるだけでは、部下のモチベーションが下がってしまいます。普段の挨拶や「新たにできるようになった部分」を認めて褒めることもコーチングのひとつです。
コーチングは自発的に行動できる社員を育てるのに適した指導方法ですが、より効果を高めるためには、上司が部下からの憧れや信頼を得る必要があるのです。
それぞれの短所と使い分け
ティーチングとコーチングにはそれぞれ長所と短所があります。教育が上手いと言われる人の多くは、ティーチングとコーチングを状況によって使い分け、あるいは併用して利用しているのです。
ティーチングとコーチングのデメリットは下記のようなポイントになります。
ティーチング
ロジカルで明確な答えを与えれば、部下はすぐにその知識やルールを理解して習得できます。一方で、部下本人が「答えを考えて行動する」という自主性が損なわれる可能性があるのです。基本的なルールや知識を教える段階であれば問題ありませんが、一定以上の部下にはコーチングの方が適しているケースも多くなります。
コーチング
自身で考えさせて答えを導き出す指導法のため、コーチングが成功すれば自主的に行動できる人材に成長してくれるでしょう。しかし、自身で考えて答えを出すための基礎能力が足りなければ、悩み続けて潰れてしまう可能性があります。
以上がティーチングとコーチングのデメリットです。
それぞれ長所と短所がありますが、ふたつを併用することで両方のデメリットをカバーすることができます。部下自身に考えさせる部分と、答えを与える部分を状況に応じて使い分けられるのが、理想的な教育者です。
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まとめ
ティーチングとコーチングの技術は、数日で習得できるものではありません。しかし、時間をかけて獲得できればその後の教育によって、部下の成績が飛躍的に向上する可能性があります。ご自身での獲得が難しければ、外部の社員研修専門業者に依頼するのも有効な手段です。
営業社員の教育でお悩みの方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください。経験豊富な弊社のコンサルタントと一緒に、御社の営業教育をより良くしていきませんか?