BtoB営業における競合分析・比較のやり方を6ステップで解説!
営業活動をしていく上で、避けては通れないのが競合の存在です。特に新規開拓の営業では、『コンペで競合に負けてしまった』、『競合サービスを導入済みでお断りされてしまった』など、日ごろから意識する機会も多いのではないでしょうか。
競合を意識する機会はあるものの、競合の製品やサービスについてしっかりと理解できている方は意外と少ないです。
営業成果を上げるためには、顧客の課題に耳を傾けることはもちろん、競合サービスと正しく向き合い、正しい戦い方を知る必要があります。本日は、そんな競合比較や分析・競合調査についての手順や具体的な方法についてお伝えします。
あわせてご利用ください
競合比較に便利なエクセルフォーマットです。本コラム「BtoB営業における競合比較・分析のやり方を6ステップで解説!」と併せてご活用ください。
目次[非表示]
- 1.競合比較の目的
- 2.競合比較の具体的なステップ
- 2.1.ステップ①:自社サービスは、何の課題を解決できるのかを決める
- 2.2.ステップ②:競合の範囲を決める
- 2.3.ステップ③:比較ポイントを決める
- 2.4.ステップ④:情報収集を行う
- 2.4.1.1.サービスページ内の導入事例
- 2.4.2.2.IR情報
- 2.4.3.3.自社サービスの利用者や解約ユーザー、営業活動中に収集した声
- 2.5.ステップ⑤:他社と比較した時の優位性、劣位性を見出す
- 2.6.ステップ⑥:勝ちパターンの言語化や打ち手を見出す
- 3.終わりに
競合比較の目的
競合比較の最終目的は、「売上を上げるため」です。もう少し分解すると、主に以下のような目的があります。
- 自社の強みや弱みを把握する
- 自社の強みが発揮できるターゲット企業群(セグメント)を見つける
- 市場から選ばれる必然性を見いだす
- 今後の開発やサービス改善の示唆を得る
目的によって手順が大きく変わることはないですが、目的を決めることで「どのような分析が必要か」、「どのくらいのリソースが必要か」などが明確になります。情報収集の効率も変わってきますので、大まかでもいいので目的意識を持って着手しましょう。
※こちらから競合比較表のフォーマットもDLできるので、ぜひあわせててご活用ください
競合比較の具体的なステップ
ステップ①:自社サービスは、何の課題を解決できるのかを決める
そんなところから?と思うかもしれませんが、実は非常に大事なステップです。このステップのゴールは、「うちのサービスは●●の課題解決ができるサービスです」と定義づけること。
BtoBサービス、無形商材であれば特に 、「何の課題を解決できるサービスなのか」を起点に考えるとわかりやすいでしょう。企業は大なり小なり何か改善したいことがあり、それを実現する手段としてモノやサービスを購入します。
言いかえると、ターゲット企業が抱えている課題と自社サービスで解決できる課題が合致したうえで、競合サービスより優れていると感じてもらえれば自社サービスが選ばれるということです。そのための第一歩として、まずは自社サービスは何の課題を解決できるサービスなのかを言語化する必要があります。
ステップ②:競合の範囲を決める
このステップでは、具体的な競合サービス名をピックアップすることがゴールです。ただし、競合も「直接競合」や「間接競合」といった考え方もあるため、競合の範囲をどこまでにするかが肝になってきます。
正社員向けの求人広告のケースを例に考えてみます。直接競合でいえば、他の求人広告媒体が該当します。一方で間接競合まで視野を広げると、「採用ニーズを満たす」という観点では、人材紹介サービスも競合になりえます。
さらに「人手不足の解消」というもう少し広いニーズに目を向けると、人材派遣や外部委託(アウトソーシング)という手段も競合といえるでしょう。このように、競合といっても範囲はとても広いです。全てを網羅しようとすると際限がなくなってしまうため、競合の範囲を決めることは重要になってきます。
ポイントとしては、「実際にコンペになるサービス」「〇〇を使っているからとお断りされるサービス」など、実際に営業活動中にバッティングしたサービスを中心に行うのがよいでしょう。
ステップ③:比較ポイントを決める
このステップでは、「調査すべき項目を決めて、比較表のフォーマットをつくること」がゴールです。企業面とサービス面の大きく2つの視点で考えていきます。特にサービス面では、顧客が購入する際の検討ポイントを外さないようにしましょう。
下記に例を記載しているので参考にしてみてください。
■企業面
- 売上
- 設立
- 従業員数
- 事業内容
- 資金規模
- 所在地
- 工場数/店舗数
- 上場 有無
- 直近の資金調達
- 企業理念
■サービス面
- サービス提供開始日
- 価格
- 機能
- セキュリティ
- コンセプト/キャッチコピー
- 導入社数
- 導入企業例
- 導入効果/導入実績
- 継続率
- 契約期間
- サポート
- 販売チャネル、掲載メディア
もちろん、この他にも思いつく項目はあると思います。「この項目必要かな?」という項目も、後々の仮説の根拠や整合性の確認のために有益となる場合もあるため、あまり絞り切らないことをおすすめします。
加えて、「この情報調べられるかな?」という内容も、情報収集を始めてみたら意外と開示されている こともあるため一旦入れておくのがベターです。ポイントとしては、客観的な情報を集めること。強みや弱み、優位性などはこの後のステップでじっくり考えるので、まずは事実集めに注力しましょう。
ステップ④:情報収集を行う
ここからは実際に情報収集をしていきます。ステップ③で作成した表を埋めることがゴールです。
■主な情報リソース例
- 企業ホームページ
- サービスページ
- IR情報(上場企業)
- サービス比較サイト
- レビューサイト ※
- 営業活動中のVOC
- 自社の導入済み顧客/解約顧客
※ITサービスでも、利用者の声を掲載しているサイトも存在します
※VOC(Voice of Customer)とは「顧客の声」を意味しており、顧客から企業に対して向けられた意見や要望の総称
上記のように、情報源はたくさんありますが、この中でも特に重要視しているものが3つあります。
1.サービスページ内の導入事例
特に「導入の決め手=なぜそのサービスを選んだか」の情報は非常に有益で、競合の強みを理解することできます。また、顧客は検討する際にどういうポイントを重視しているのかといった示唆を得ることもできます。
2.IR情報
上場企業に限定されてしまいますが、IRとして導入社数や顧客数推移、継続率など公開しているケースも多いため、必ずチェックするべき内容です。それ以外にも事業リスクや今後の方針などを記載されている場合があり 、得られる情報は非常に多いです。
3.自社サービスの利用者や解約ユーザー、営業活動中に収集した声
リアルな顧客の意見という性質上、上記の中で一番重要な情報リソースです。例えば、新規提案や結論回収を行ったあとは、なぜ自社サービスを選んでもらえたのかヒアリングを実施しましょう。
加えて、商談アポイントを獲得する前に、競合サービス導入済と断られることも多いと思います。その時には「差し支えなければ、〇〇に決定された決め手をお伺いしてもよろしいでしょうか?」と質問してみましょう。その答えには競合の強みやお客様のリアルなニーズが詰まっているはずです。
ステップ⑤:他社と比較した時の優位性、劣位性を見出す
上記ステップ④ここまでで、情報を整理してきました。このステップでは、いよいよ強みや弱みを見いだしていきます。
「〇〇を実現したい企業には自社サービスが強い」、「〇〇社のサービスと比較・検討される場合は、こういうメリットを訴求しよう」といった具体的な営業シーンに紐付くレベルまで見えてくれば、このステップはクリアです。
この時に、顧客視点での「検討ポイント」や「導入の決め手」が大事な軸となります。サービスによって「検討ポイント」はさまざまあると思います。価格や機能、導入時や導入後のカスタマーサポート / カスタマーサクセスの有無など、ステップ④で収集した情報をもとに洗いだしていきましょう。
ステップ⑥:勝ちパターンの言語化や打ち手を見出す
最後のステップとして、競合比較をして得られた情報や仮説をもとに、営業活動の方針を見直してみましょう。セレブリックスが推奨している「3C+2C×マクロ環境」や、マクロ環境と強み弱みを組み合わせるクロスSWOT分析のフレームワークを使うのも有効です。
考え方の例
「離職率を改善したい企業には自社サービスが強い」という示唆が得られた場合、今度は「離職率を改善したい」企業はどんな特徴があるかのようにターゲティングの仮説構築へと進めていきます。
一方で、競合になかなか勝てない、営業力では覆せない部分が大きいという結論になった場合は、商品・プロダクト開発と連携して機能の拡充することが次の打ち手になるかもしれません。このように整理や分析をして終わりにせず、改善点に優先順位をつけたり、次の打ち手を見いだしたりするところまで進めていきましょう。
終わりに
競合比較の進め方について、お伝えしました。あの有名な孫子にはこう書かれています。
『彼を知り己を知れば百戦殆からず』
つまり、「敵も味方も情勢をしっかり把握していれば、何度戦っても敗れることはない」という意味です。営業活動においても競合と正しく向き合うことで、営業成果に繋がっていく、この記事がそんなきっかけになれば幸いです。