PUSHの新規開拓営業(アウトバウンド)が必要な理由。
営業職が「つらい・大変」と思われる理由のひとつに、いわゆるコールドコールと呼ばれる、縁もゆかりもない冷たいリストにアウトバウンドを仕掛けなければいけないことがあります。問合せに対して反響営業をしている方が、ストレスもないし営業も簡単だとお考えの方も多いと思います。しかし、事業成長のためにはアウトバウンドは欠かせません。
本コラムでは、アウトバウンド営業がつらいと感じている営業パーソン、また、アウトバウンド営業の組織管理者に向けて、「なぜアウトバウンドが必要なのか」をわかりやすくお伝えいたします。
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目次[非表示]
- 1.アウトバウンドはどれくらい大変か?
- 2.アウトバウンド営業が必要な理由
- 2.1.①規模の拡大や全マーケット獲得を目指す
- 2.2.②市場浸透率が低く、需要喚起が必要
- 2.3.③会いたい顧客にリーチできる
- 2.4.④競合より早くリーチできる
- 3.まとめ
アウトバウンドはどれくらい大変か?
アウトバウンド営業、特にコールドコールは、とても大変です。なぜなら、圧倒的に断られる数の方が多いからです。たまに、麻痺している人はいますが、断られることに慣れている人はいないのではないでしょうか。
また、B2Bにおいては【買うつもりがある顧客は問い合わせをしてくれるはず】ですので、アウトバウンド営業は基本的には買うつもりのないお客様に営業を仕掛けます。営業電話を「待っていたよ!」という顧客に出会える確率は、極めて低いと言えるでしょう。
多くの場合、顧客にとっての営業電話は「忙しい時にやってくる邪魔者」なのです。アウトバウンドのテレアポにおいて、「商品の説明をダラダラするな」「メリットをキャッチーに早めに話せ!」とよく言われますが、その理由はここにあります。
営業電話は仕事の邪魔なのでさっさと電話を切りたい、という顧客に対して行うというのが前提で、その上で、電話を切ろうとする相手に対して、なるべく短い時間で「なるほど」と関心を抱いていただく必要があるのです。一説にはアウトバウンド営業はインバウンド営業に比べて、労力やコストが5倍以上掛かると言われます。
サービスによっては、獲得単価が10倍になるということもあります。一見、極めて非効率的なこのアウトバウンド営業ですが、一体何のために行うのでしょうか。それを理解するためには、事業のステージや目指していること、そして競争環境に目を向けることが必要です。
アウトバウンド営業が必要な理由
労力が掛かっていながらアウトバウンド営業を選択する理由は、下記のようなものが挙げられます。
- 規模の拡大や全マーケット獲得を目指す
- 市場浸透率が低く需要喚起が必要
- 会いたい顧客にリーチできる
- 競合より早くリーチできる
他にも商文化やターゲット属性などの様々な理由はあるものの、今日ご理解いただきたいのは上記4つです。それぞれを少し解説します。
①規模の拡大や全マーケット獲得を目指す
難しい言葉を遣いましたが、「業界のトップになるために全マーケットの獲得を目指そう!」としている企業の場合は、アウトバウンド営業が必要、ということです。なぜなら、WEBや広告などの反響営業だけでは、全マーケットを網羅できないからです。
少し想像してみてください。貴方の会社が人手不足だったとします。求人広告を出そうと思った場合、下記のどのパターンが掲載の決め手になりますか?
- Google検索してヒットしたWEBサイトに書かれている強みを見て
- 知り合いの会社の社長から「効果あったよー」すすめられた
- 地上波の人気ドラマの時間枠でTVCMが流れていた
もちろん状況にもよりますが、多くの方がBを選びます。
やはり信頼している方から紹介をいただくサービスが1番安心できるのです。どういうことかというと、優れたWEBサイトを持っていたとしても、それを見ている人はほんの一部だということです。多くの方は、過去取引のある会社に頼んだり、知り合いの会社に紹介してもらったりしているのです。
そして、全ての会社が都合よく貴方の会社を紹介してくれるということはありませんので、反響を待つだけでは、一定数以上の【接触できない顧客群】が存在します。つまり、全マーケットの獲得狙うためには、【接触できない顧客群】にこちら側からアウトバウンド営業をする必要が出てくるということなのです。
②市場浸透率が低く、需要喚起が必要
ある意味①とは逆のようなことを言いますが、事業のステージとして駆け出しの段階も、アウトバウンドが必要な場合があります。そもそも、商品や課題解決の内容が市場に認知されてなければ、検索も問い合わせもありません。
そうした場合こちらからアウトバウンドで接点を持ち、需要や価値を訴求しながら、必要性を認識させる必要があります。また、事業の初期ステージでアウトバウンド営業を行うことは、顧客の買い気や買わない生の声を掌握できるという効果があります。これは、プロダクトのブラッシュアップや営業戦略のチューニングにとても重要になります。
③会いたい顧客にリーチできる
インバウンド(反響営業)の場合、どの企業から問合せを貰うかコントロールするのは至難の業です。しかし、アウトバウンドではリストの管理さえしっかりしていれば、狙いたい企業に直接アプローチすることが可能です。
また、これは二次的な話にはなりますが、狙っていた業界最大手のA社をアウトバウンド営業で受注したとしたら、その後の営業活動を行う上で「A社も利用しているプロダクト」と言えば、とても営業は簡単になります。一見非効率に見えがちなアウトバウンドも、特定の企業の受注が決まれば、芋づる方式で受注が量産できるということは実際にある話です。
④競合より早くリーチできる
反響営業の場合、大抵がコンペ案件となりライバルと契約獲得を争うカタチになります。圧倒的な競争優位があればそれでも良いのですが、コンペは価格競争に巻き込まれやすいというデメリットがあります。
そうなると、適正な価格で受注できなくなり、利益を圧迫し、いくら頑張っても儲からない…という悪循環を作ってしまうケースもあります。また、適正価格でサービスを提供できないと、体制や関わり方に無理が生じ、品質を保てないというリスクも発生します。
さらに言えばコンペ案件では、提案要件(予算や諸条件)が定められている場合が多くあります。これも一長一短ですが、条件が決まってしまっていると、顧客の本質的な課題解決の提案が出来ないというケースが生まれます。そうすると実質的な課題解決には至らず、解約されたり長続きしなかったり…という可能性が高くなるのです。
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まとめ
今回は一見するとスマートに見えない、アウトバウンド営業の必要性について考えみました。背景を知ることで、なんのためにアウトバウンド営業が必要なのか、その理由が掴めたのではないでしょうか?
ぜひ営業の方は目的をもってアウトバウンドを推進いただきたいですし、マネジメントサイドはしっかりとアウトバウンドをやる理由を説いていただきたいと思います。アウトバウンドで行う、その1件の電話、1本のメールが、企業の事業の未来に繋がっています。その1件に価値があります。
アウトバウンド営業は本当に大変だと思います。しかし、99件断られても残りの1件のお客様はその電話をキッカケに、もっと良い会社を作れたり、もっと良い人生を歩めたりできるかもしれません。営業パーソンが頑張る理由はそこにあると、私は思っています。